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最高のパフォーマンスを長期的、持続的に発揮する「エネルギーマネジメント」をGSK代表野上麻理さんがレクチャー

author 文:田邉愛理
最高のパフォーマンスを長期的、持続的に発揮する「エネルギーマネジメント」をGSK代表野上麻理さんがレクチャー

ライフハッカー[日本版]とBOOK LAB TOKYOがコラボするトークイベント「BOOK LAB TALK」。

第11回目のゲストとしてライフハッカー[日本版]が招いたのは、話題の書『ピークパフォーマンス』(WAVE出版)の著者である野上麻理さんです。

野上さんはP&Gの管理職からマックスファクタージャパン(P&Gスキンケア・化粧品事業部)の日本人初のプレジデントに就任。P&Gのバイスプレジデント、アストラゼネカ役員、武田コンシューマーヘルスケア社長を経て、現在はGSKコンシューマーヘルスケアジャパン代表取締役社長という華麗なる経歴の持ち主。

家庭では2児を育て、35歳ではじめたマラソンでは3時間15分を切って走る、石垣島トライアスロンで年代別2位に輝くなど、プライベート、仕事の双方で「ピークパフォーマンス」を発揮してきました。

本書は野上さんのように、自分の時間も、家族の幸せも、人生の充実もあきらめずに実現するノウハウを説いた1冊。編集長遠藤が聞き手をつとめたトークセッションではそのエッセンスを惜しみなく参加者にシェアしてくれました。

10年前に著書を「お蔵入り」させた理由

初の著書『ピークパフォーマンス』を去年刊行されたばかりの野上さん。本書の元となる原稿を書いたのは、実は10年前の41歳のときだったそう。

メディアで私を見たWAVE出版の編集者の方が、本を書かないかと声をかけてくれたんです。

当時私は「部下が2人でも3000人でも成果は出せる」みたいなことを言っていて。そんな生意気なことを言う、しかも2児の母というのが珍しかったようで。

2人で話をしているうちに、いろいろなことをやってしまえる理由がここにあると励まされて書きはじめたんですが、当時のP&Gの上司に「会社員の間に本を出すなんて。独立するときにでも出しなさい」と諫められ…。

それで大変申し訳ないことに、いったんはお蔵入りさせたんです。(野上さん)

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トークセッションにて著書が出版されるまでの秘話を語る野上さん
Screenshot: ライフハッカー[日本版]編集部 via Zoom

それから10年が経ち、武田コンシューマーヘルスケアからGSKに移る間に少し仕事の余裕ができたことから、「一生に一度は本を出す」という夢を思い出した野上さん。

すぐに担当編集者に連絡をとり、10年の間に起こった変化や知見を書き足して、本書を完成させたのだそう。

時間管理の限界は、エネルギーマネジメントで乗り越える

この10年で徐々に体力が落ち、子どもの成長とともに物理的な負担は減るけれど精神的な負担は増え、その一方で海外単身赴任、社長就任など、さまざまな変化があったと野上さん。

どんな挑戦も同じノウハウを使って乗り越えてきました。それは、P&G時代に知った「コーポレートアスリート」というトレーニングで得た考え方。

まずは自分で学び、その後P&Gが全社員にこのトレーニングを実施したいということで私がトレーナーになったので、すっかりメソッドが身につきました。(野上さん)

「コーポレートアスリート」の創始者は、超一流のスポーツ選手のメンタルコーチ。トレーニングの内容は、アスリートがオリンピックのような大舞台で活躍するためのサポートをビジネスパーソンに応用したものです。

プレッシャーに負けず、長期的・持続的に「ピークパフォーマンス(最大のパフォーマンス)」を発揮するノウハウが理論化されています。

野上さんによると、ピークパフォーマンスを維持するためには、次の2点が重要とのこと。

  1. 自分のエネルギーをマネジメントして、成果を最大にする
  2. そのために人生の目的を明確にして、仕事と私生活に向き合う

その第一歩となるのが「時間管理術からエネルギーマネジメントへ」という発想の転換です。

パフォーマンスを上げる方法、仕事と家庭を両立する方法というと、時間管理術が多いですよね。でも時間は24時間しかなくて、どんな人にも増やしようがない。

それならば、自分がもともともっていて、増やせるもの──エネルギーを管理することでパフォーマンスを上げましょうというのが根本的な考え方です。(野上さん)

人は「4つのエネルギー」を管理し、増やすことで強くなる

次に野上さんがスライドで示してくれたのは、ビジネスパーソンが管理するべき「4つのエネルギー」の関係性です。

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「4つのエネルギー」の関連図

強いプレッシャーがかかる場で活躍するためには、これらのエネルギーを自分で管理して増やさなければなりません。ベースは身体的エネルギー、つまり身体。次が感情で、その上に思考のエネルギー(集中力)があります。

トップの精神のエネルギーとは、自分が人生で大切にしていること。マズローの法則のようにピラミッド構造になっていて、まず身体を整え、感情をコントロールし、思考を明確にして、精神と同じ方向に合わせていけば、最大のパワーが得られます。

そしてエネルギーをどこに向けるかを決めるのは、自分が人生で本当に大切にしていること──というのがコーポレートアスリートの考え方です。(野上さん)

「なるほど、自分の意志のベクトルを一方向に向けることで、最大のエネルギーを発揮できるんですね」(遠藤)

野上さんの場合でいうと、「人生の目的」の原点となったのは「仕事も家庭も手に入れたい」という思い。

トレーニングや出産といった人生の転機を通して自分を見つめ直し、チャレンジと成長への強い欲求と、家族を思う気持ちを確認してきたと話します。

時間や健康の管理はライフハッカーでもよく取り上げられますが、野上さんの「エネルギーを管理し、その方向性を人生のパーパスと一致させる」という視点にはっとした、と遠藤。

「エネルギーを整えるのは、身体、感情、思考、精神の順番でしょうか?」(遠藤)

それが一番効果がわかりやすいし、取り組みやすいと思います。頭脳労働者は特に、身体を疎かにしていることが多い。私は基本的に運動をものすごく人に勧めます。

結局、脳は糖分と酸素がいかないと働きません。脳に効率的に糖分と酸素を行き渡らせるためには、運動・睡眠・食事が大事。

コーポレートアスリートを受けた多くの方が実感されるのは、体のエネルギーを整えてあげるだけで、自分の仕事におけるパフォーマンスが明らかに変わるということです。(野上さん)

若いころは無理ができても、30代後半を過ぎるとそれでは続きません。頭脳労働者であるビジネスパーソンが継続的に成果を上げるためには、身体のコントロールと基本的体調の管理が不可欠だと野上さんは指摘します。

ひと粒で二度おいしい「グリコ人生」を実現するために

次なる「感情のエネルギー」の管理は、一言でいうと、「肯定的な感情を自分で常に呼び起こせるようにトレーニングをすること」。

よく「私はネガティブ思考だから」と自分に対して固定観念をもっている人がいますが、ポジティブ/ネガティブは「思考のパターン」に過ぎないため、トレーニングで矯正できると野上さん。

私のP&G時代の上司は、何か問題が起きると「Don't take it personally」、個人的に受け取るなといつも言ってくれました。それは個人的な問題じゃなくて、あくまでも仕事で、物事だよねと。

だから本人が落ち込んでいる場合じゃない、落ち込んでいる暇があったら解決しようと、常に声を掛けてくれた。それがすごく良かったと思います。

もし今、まわりがそうしてくれない環境なら、自分で自分にそう言ってあげてください。(野上さん)

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エネルギーマネジメントとは、グリコ人生の鍵である

このあとも思考、精神の整え方へと話は進み、自分のパーパスの見つけ方、アスリートにとってのオリンピックのような「決め所」で勝つためのポイント、運動音痴だった野上さんがマラソンを習慣化した方法など、人生を充実させるノウハウの数々を伝授してくれました。

「人生のパーパスを見つけ、パーパスにフィットしていないネガティブな習慣や思考は棚卸しして、オセロみたいにひっくり返し、良い習慣に落とし込む。そうやってトレーニングしていくと、時間と違ってエネルギーはレバレッジが効くということなんですね」(遠藤)

まさにそうです。具体的だし、自分の人生にとって本当に大事なことを考えながらやるから続けられる。また、大事なことは自分の強みだったりもするので、それをうまく使いながら自分の行動変容を促していく…そんな好循環ができていきます。(野上さん)

セッションの最後、「エネルギーマネジメントを一言で表すと?」という遠藤の問いかけに、「グリコ人生の鍵!」とフリップに書いてくれた野上さん。

その心は「ひと粒で二度おいしい」。自分にとって大切なことがどんどんできて、人生が倍になる──そんな圧倒的なエネルギーの感覚を、野上さんが身をもって伝えてくれた貴重な時間でした。

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