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印南敦史の「毎日書評」

不幸な感情を寄せつけない! 武田双雲流「丁寧道」のはじめ方

author 印南敦史
不幸な感情を寄せつけない! 武田双雲流「丁寧道」のはじめ方
Photo: 印南敦史

丁寧道 ストレスから自由になれる最高メソッド』(武田双雲 著、祥伝社)の著者は、「どうしてそんなに幸せそうなんですか?」と聞かれることが多いのだそうです。そして、その理由について次のように述べています。

それはたぶん僕が「感謝オタク」だからです。

人はいつの間にか、自分に「ないもの」に意識が向きがちになってしまいます。だから、常に心が満たされない状態になってしまう。

でもそこで、自分に「あるもの」に気づいて、感謝をすることができたら……日常の景色の見え方が変わってきて、自分自身の状態も変化してくるのです。

(「はじめにーー『疲弊』が存在しない僕の生き方をおすそわけします」より)

「感謝」というのは、しようと思ってできるものではない。そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも、そこで本書のテーマである「丁寧」が重要な意味を持つのだそうです。

僕はそれを「丁寧道(ていねいどう)」と呼んでいるのですが、「丁寧」の本質をつかんでから毎日を過ごしていただくと、どうしたって不幸な気持ちになれないのです。

それどころか、内面から無尽蔵に湧き上がるワクワクした感覚で、毎日が楽しい気持ちで溢れるようになります。

(「はじめにーー『疲弊』が存在しない僕の生き方をおすそわけします」より)

「丁寧道」を実践していると、嫌なことが起きず、成果も出るなど、いいことばかり引き寄せるようになるのだとか。

だとすれば、それがどのようなものであるのかを知りたいところです。そこで、本書の肝である“「丁寧道」の実践”に焦点を当ててみることにしましょう。

双雲流「丁寧道」のやり方

著者によれば「丁寧道」とは、“対象はなんでもいいので、気の向いた瞬間に「対象を丁寧に感じ尽くす”ことだそう。例を挙げてみましょう。

・朝、歯を磨くときなら、歯ブラシの色やブラシの毛先の様子をじっくりと見てみる。歯磨き粉をつけて口に入れたら、歯に当てる瞬間の感触や動かしたときのブラシの毛の流れに意識を置いて、気持ちよさを感じてみる。

・通勤中なら、電車の手すりの金具を持ったときにそのひんやりした温度を感じてみる。つり革があったら、その材質や正確な丸さをまじまじと見てみる。運よく座れたら、座席に接しているお尻を通して、シートの質感や硬さなどを感じてみる。(19ページより)

他にも、仕事帰りの食卓でビールを飲む際、いつもよりじっくり缶を開けて「プシュッ」という音に耳をすましてみたり、グラスに注ぐ「トクトク」という音を味わってみたり、あえてのどを乾かしておいて、ビールのキレを感じ尽くしてみたり…。

コーヒー好きの人は、ミルで「ザザー」と豆を挽く音を楽しみながら、お湯をじっくり注ぎ、そこから立ち上がってくる香りに至福を感じてみるのもいいかもしれません。

いずれにせよ、そんな些細なことも、すべて立派な「丁寧道」だというのです。したがって難しく考える必要はなく、自分が自然とやっていた“丁寧な行為”から始めてみるだけでOK。

たとえば僕なんかも、ペンケースのチャックを開け閉めするだけで、「素材感とか色とか超かわいいなー」「うわっ、全部開け閉めしなくても3分の2だけ開けるのもエモいな」「冷静に考えるとこんな絶妙なチャックの噛み合わせを考えた人、天才だなぁ」とか思っているうちに、気づくとチャックのメーカーさんに感謝とかしています。(23ページより)

つまりはそんなふうに“丁寧”という観点を導入することで、ちょっとした日常の動作を楽しんでみる。そして、その丁寧さを少しずつ、いろいろなことに広げていくことに意味があるという考え方であるようです。(17ページより)

「丁寧道」においてやることは、五感でテイスティングするだけ

なお著者によれば、「丁寧道」でやることは、茶道を完成させた千利休と同じなのだそうです。

そもそも「お茶を淹れて飲む」とは、茶葉や抹茶に湯を注いで飲むという動作にすぎません。水分子にカテキン分子が入っている液体を、重力を利用して食道に流し込む物体移動にすぎず、適当に湯を茶碗に注いで飲むだけでもお茶はお茶です。

でも、そこであえて、茶杓(ちゃしゃく)や棗(なつめ)にまでこだわって抹茶を茶碗に入れ、さらに作法に則りながら茶釜から柄杓(ひしゃく)を使ってお湯をちょぼちょぼと注ぎ、茶筅(ちゃせん)でお茶を点(た)ててお客に出す。

客のほうでも、茶碗を回していろんな方向から愛でながら、かけ軸や挿してある花を眺め、勧められたお茶をぶわーっと香りまで味わいつつ、飲み干す音や袱紗(ふくさ)・懐紙(かいし)の捌き方にも意識を払う……こうした素人目に見るとめんどうでムダそうなことをして、いわばお茶やその場の空間全体を丁寧にテイスティングしているわけです。(25ページより)

本書の核になっている「丁寧道」でやる行為そのものはこれだけ。

しかし、その「丁寧」がかけがえのないものをもたらし、人生をよりよくしてくれるーー。本書を通じ、著者はそう主張しているのです。(24ページより)

新型コロナを筆頭に“明るくないニュース”が続いている状況下では、心が疲弊してしまっても無理はありません。だからこそ、著者の提案する「丁寧道」を実践し、幸福感を高めていくべきなのではないでしょうか。

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Source: 祥伝社

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