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印南敦史の「毎日書評」

仕事で伸びる人の必須条件『きちんとした「大人」であること』とは?

author 印南敦史
仕事で伸びる人の必須条件『きちんとした「大人」であること』とは?
Photo: 印南敦史

「仕事」が持つ特筆すべき特徴とは、趣味とは違って「リスク」があること。

失敗はさまざまなダメージに直結するし、人生を狂わせることすらある。しかし、そういった現実的なリスクがあるから、逆に、人生を変えるくらいの、とてつもなく大きな利益を得ることができる。

リクルートに会社を売った男が教える仕事で伸びる50のルール』(松本 淳 著、フォレスト出版)の著者は、このように主張しています。だからこそ、仕事がうまくいったときの喜びは大きいのだとも。

なお、こうした考え方は、かつて、創業した会社を5年後にリクルートに売却したという自身の経験に根ざしたもののようです。

創業から売却に至るまでの起業時代は、人生におけるリスクが極めて大きい期間でもあった。今とは違い、システムを作るのに大きな資本が必要な時代だ。

システム費用や自前サーバのリース費として5000万円、銀行からの運転資金融資で5000万円、合計1億円を「会社代表個人の連帯保証付き」でずっと借りつづけているという状態だった。

しかし、そのリスクを取りに行ったからこそ、仲間と一緒に事業を作り上げ、そしてまったく想像もできなかった世界を見られるという貴重な体験を得た。(「はじめに」より)

そのときの経験が、現在の自分自身の基礎をつくる、なにものにも代えがたい根本の要素になっているというのです。

つまり本書ではそうしたさまざまな経験を軸として、仕事に向き合うために大切な「50のルール」を紹介しているわけです。決してマニュアルではなく、どのように想像し、行動すべきかという、「自分で考えるための指針」となるように書かれているそう。

きょうは第4章「未来への想像力を育てるための11のルール」に焦点を当て、「大人」であることの意味について考えてみたいと思います。

きちんとした「大人」であるために大切なこと

大人とは、「歳を重ねたら自動的になるもの」でもないと著者。たしかに、世間から見ればもう十分にいい歳なのに、いつまでも大人になりきれない人も少なくありません。

そして、大切なのはそれだけではない。

いくら大人として成熟しているといっても、世の中に貢献しようとせず、単に「逃げる」姿勢だけを見せている人は尊敬されない。

自分の持っている知識だけで若い世代にマウントしようとしたり、新しいことに対して文句やグチばかり言っているようでは、単なる「老害」としかみなされないようになる。(216ページより)

大切なのは、いつも1人の大人であるとの自覚を持ち、自分が果たすべき責任を意識しておくこと。

社会に対して自分にできることは必ずあるはずだからこそ、目の前の課題に正しく向き合い、できることを使命として提供しつつ、自身も必要に応じて変化していくーー。

そんな考え方ができる人こそ、1人前の大人だということです。(216ページより)

「他責」ではなく、いつも「自責」という意識で

いつも人の批判しかしない人は、自分の役割や責任を棚に上げてしまっていることが多いもの。

自分から積極的に責任を取ろうとせず、安全地帯から、評論家的な視点で意見することを自分の役割だと勘違いしているわけです。

そういう人は、本当の仕事の難しさを理解していないから、いとも簡単に人を批判できてしまうのだと著者は指摘しています。

逆に、責任意識の強い人ほど、仕事の本当の難しさを理解している。

かかわるすべての人を満足させながら、安定的に価値を出しつづけることは本当に至難の業だ。だから簡単に人を批判し、責任を追求するようなことはしない。

逆に、何か身近な課題が起こったときは、まずは自分の責任ということを考える。人に言われたからではなく、あくまで自主的な判断においてだ。(217ページより)

そんな姿勢でいるからこそ、仕事や身のまわりの課題の解決に向け、自分から積極的に動くことができるわけです。

しかも、いつも課題に真摯に向き合おうとしているぶん解決するのも早いため、まわりからは自然と頼られる存在になるのです。そして非難されることを恐れず、自分の責任範囲を広く持とうとするから、人から任される範囲も広くなる。

そういう人こそが真のリーダーであり、使命感と責任感にも満ちた「尊敬すべき大人」なのです。(217ページより)

失敗を恐れず挑戦する

大人になることは成熟することではあるが、それは決して、守りに入ってしまうことではない。

いくら経験を積んだからといって、それ以上に成長や変化をしようとせず、これまでの資産や蓄積だけに頼って生きようとした瞬間から「余生」が始まる。

年齢にかかわらず、余生モードに入ってしまっている人はかなり多い。(216ページより)

自分の得た経験やスキル、資産を、自分のためだけに使って生きていこうという姿勢を、著者は「残念だ」と表現しています。

「虚栄心の強い人は、高級車や豪華な旅行、自分のこれまでの人脈や肩書きを見せびらかして尊敬を集めようとするが、それは本当に尊敬に値する行動だろうか」とも。

そうではなく、本当に価値があるのは、自分の知見を社会のために還元したり、そのために新しいプロジェクト(仕事でもプライベートでも)を始めたりすること。

無謀だとか絵空事だと揶揄されようが、そうやって挑戦を続ける人こそが、下の世代にとっての本当の意味でのロールモデルになるもの。いいかえれば、人は「過去の実績」よりも、「いまの姿勢」で評価されるものだということです。(218ページより)

他にも「仕事力」「メンタル」、そして「人間関係力」を育てるためのルールが簡潔にまとめられています。

自分に必要な箇所から読み進めることができるようになっており、ルールを深めるための「ワーク」も盛り込まれているため、とても実践的な内容。

さまざまな意味でのスキルを伸ばすために、ぜひとも参考にしたいところです。

Source: フォレスト出版

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