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印南敦史の「毎日書評」

その仕事は愉しいか? 日々の業務にワクワクを見つけ結果をだすヒント

author 印南敦史
その仕事は愉しいか? 日々の業務にワクワクを見つけ結果をだすヒント
Photo: 印南敦史

スマイル経営 社員の笑顔と売上は比例する』(明智潤明 著、エムディエヌコーポレーション)の著者はアミューズメント会社の3代目社長であり、本書も経営者の視点から書かれています。

したがって、経営者にとって有効な内容であることは間違いありません。ただし経営者にしか通用しないというわけではなく、ここで展開されている考え方は経営者のみならず、すべてのビジネスパーソンが活用できるものでもあります。

なぜなら、「笑顔」をテーマにしているから。

もし、経営者が暗い顔をしていれば、周りの社員は不安になりますよね。不安なまま仕事をしていれば、いい結果が出ることはありません。

悪い結果を引き寄せてしまいます。だから私はいつも笑顔でいることを誰よりも強く意識しています。

笑顔は「すべてがうまくいくための入り口」だからです。

***

笑顔でいることにはお金がかかりません。笑っていることで不利益になることは一つもありません。そうであるならば、経営者が最初にするべきことは「自分が笑顔でいる」ことです。

(「まえがき アミューズメント会社だからこそ社員を笑顔にしたい」より)

この「経営者」という部分を「ビジネスパーソン」に置き換えたとしても、充分に説得力があるわけです。

しかも著者の会社は、笑顔を第一にすることで売り上げを12%も伸ばしたのだとか。だとすれば、やはり注目に値しそうです。

そこで、きょうは第2章「なぜ社員が笑うと売り上げはアップするのか?」に注目してみたいと思います。

人はワクワクしているといい仕事ができる

勉強が嫌いなのであれば、勉強しなければならない1時間は苦痛となってしまうはず。しかしゲームが好きな人にとって、ゲームをしている1時間はあっという間ではないでしょうか。そんなところからもわかるように、同じ1時間でも、嫌なことをしているときと好きなことをしているときでは、まったく印象が異なるわけです。

そのため、ワクワク感や集中力が違ってきたとしてもそれは当然。ワクワクしていることや好きなことが仕事になったら、8時間はあっという間だということです。したがって8時間ずっとワクワクしていることが理想でしょうが、それは難しいことでもあります。

たとえば学校の勉強を「予習」「実習」「復習」で考えると、予習をしているときは愉しいはずです。

実際に授業で実習しているときは理解することがメインになります。復習がいちばん辛いのではないでしょうか。

これを仕事に置き換えて考えると、「次はこういうことをやろうよ」と企画して未来を考えているときは愉しいはずです。

実際にやっているときはすごく集中しているので忙しく過ぎてしまいます。一日の終わりに振り返って「もっとこうすればよかった」「次にやるときはもっとこうしよう」という反省はみんな忘れがちです。

しかし、この3つをセットにしなければ、いい仕事はできません。(70〜71ページより)

つまり経営者の仕事は、働く人たちが笑顔になれるような、ワクワクする職場と仕組みを提供していくこと。

そして働く人も、与えられた仕事のなかに“ワクワクできるなにか”を見つけ出すことが大切なのでしょう。(70ページより)

「楽しい」ではなく「愉しい」

上記のとおり、著者は「たのしい」を「愉しい」と表記しています。

一般的に「たのしい」と書く場合には「楽」という字が用いられることが多いと思います。しかし著者の会社では意識的に「愉しい」という漢字で統一しているのだといいます。

「たのしい」には「愉快」という意味があります。愉快は楽をすることではなく、自分でつくり出すものです。だからアミューズメント企業である当社では、あえて「愉しい」を使うことにしています。

サービス業は物をつくる仕事ではありません。感情をつくる仕事です。感情とは心の動きです。

だから私は「忄(りっしんべん)」がついた「愉しい」にこだわっています。心から出てくる笑顔がニコニコで、心がないのがニヤニヤだともいえるでしょう。(77ページより)

そしてもうひとつ重要なのは、「楽をしてたのしむ」ことに成長はないということ。

たとえば、映画を観たとします。感動してその後の人生に影響がある場合は「愉しい」になります。しかし、映画の内容がそれほどでもない場合は単なる「楽しい」です。自分のその後の人生に影響が出たり、自分を成長させたりするものでなければ「愉しい」とは言えないのです。(77ページより)

このように考えているからこそ、著者は「仕事は『愉しい』ものにしなければなりません」と断言するわけです。

これまでできていなかったことができるようになったり、自分で工夫をこらした結果として成果が上がったとすれば、それは「愉しい仕事」になるから。

もちろん、「愉しい仕事」は簡単に手にすることができるものではないでしょう。手に入れるためには、自分が能動的に動く必要があるということ。

楽をするのではなく、心を込めて愉しむことで、大きな成長を手にすることができる。著者はそう主張しているのです。(77ページより)

かつて会社が苦境にあるときにも、著者はあえて笑っていたそうです。ひとりでいるときは悩み、苦しんでいたものの、社員の前では笑顔を貫き通したというのです。いうまでもなく、トップが笑っていなければ社員が笑顔になれるはずはないから。

そうした考え方に基づく本書は、冒頭で触れたように、すべてのビジネスパーソンを勇気づけてくれる一冊であるといえそうです。

Source:エムディエヌコーポレーション

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