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世界的なベストセラーが教える、お金とほどよく付き合う4つのルール

世界的なベストセラーが教える、お金とほどよく付き合う4つのルール
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「お金をたくさん持っているほど幸福感が増す」という考えは、しごく当然のように思えます。

それを信じているから、誰もが一生懸命に働いて所得を増やそうとしています。

ですが、お金と幸福感の関係は、ずっと複雑。

深い理解が伴っていないと、あくせく働くだけで終わってしまう危険性もありそうです。

そう指摘するのは、著述家・実業家のスイス人、ロルフ・ドベリさんです。

ドベリさんは、世界的なベストセラー『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』(安原実津訳/サンマーク出版)の中で、お金という、時には厄介な存在と折り合いをつけるヒントを、たくさん提示しています。

今回は、本書よりその幾つかを紹介しましょう。

メンタルアカウンティングで出費のイライラを予防

頑張って働いて得た1万円と、道ばたで拾った1万円。

どちらも金銭的価値は同じなのに、拾った1万円は気兼ねなく使ってしまう傾向があります。

これは、お金の出どころによって、お金を使うことへの抵抗感は異なるという、心理学用語のメンタルアカウンティングの一例です。

これは心の錯覚というべきものですが、この特性を利用することを、ドベリさんはすすめています。

例えばドベリさん自身は、「寄付用口座」と名付けた銀行口座を持ち、一定の金額をプールしています。

駐車場がいつも埋まっているチューリヒ中心街の路上に駐車して、駐車違反の切符を切られた時は、罰金は「寄付用口座」から支払うことにしているそうです。

自分の財布から払う罰金も、もともと寄付を使途にした口座残高からあてた罰金も、額としては同じです。

ですが、ドベリさんはこの口座を作ってから、「驚くほどイライラしなくなった」と効用を述べています。

「心が穏やかでいられるように、わざと自分を錯覚させる」メンタルアカウンティングの手法は、誰でも活用できます。

どこか貧しい国を旅行しているときに、あなたの財布がなくなったとしよう。

財布自体はその後まもなく見つかったが、中身の現金は抜き取られていた。

あなたはその出来事を、「お金を盗まれた」と思うだろう。でもそこで、おそらくあなたより苦しい生活を送っているその国の人たちに寄付したのだ、と考えることはできないだろうか?(本書45pより)

起きてしまったことにくよくよするより、メンタルアカウンティングによって、前向きな解釈をすることで、嫌な気持ちが後々まで尾を引くのを防げるというわけです。

そして、メンタルアカウンティングは、節約にも応用できます。

ドベリさんは、店やレストランの会計前に、頭の中で支払う額に50%を加算するそうです。

これは、ゆくゆく収入から50%くらいの所得税が引かれるのを考慮しての計算で、「あらかじめ税金分を加算して考える」のは、出費(そして納税時のストレス)を抑えるメンタルアカウンティングとなるわけです。

重視すべきは「経験」という名の「高級品」

心理学の実験結果で、高級車の所有者が感じている所有の喜びは、低価格車の所有者が感じている喜びより約50%大きかった、というのがあります。

しかし、質問内容を少し変えて、「前回、その車を運転したとき、運転中にあなたはどれぐらい喜びを感じていたか」とすると、どちらの車の所有者も喜びの度合いは同程度に「低い」という結果になりました。

この実験結果を引き合いに出したドベリさんは、人間にはフォーカシング・イリュージョンという心理的メカニズムが備わっているからだと理由を説明します。

フォーカシング・イリュージョンを平たく説明すれば、「特定の要素だけに意識を集中させると、その要素が人生に与える影響を大きく見積もりすぎてしまう」というもの。

高級車を購入した当初は、意識がマイカーにばかり向きますが、やがてその存在感は薄れて、運転していても喜びを感じなくなります。

同じことが、郊外の邸宅やヨットといった高額な買い物にもあてはまり、「実質的な満足度は、結果としてマイナスになってしまう」と、ドベリさんは指摘します。

そのむなしさを感じさせない数少ない「高級品」は、素晴らしい「経験」だそうです。

この経験による喜びは、頭の中にも心の中にも留まり続けるためです。

よい本を読むこと、家族とのお出かけ、友人とのカードゲーム。

どれも大してお金はかからない。もちろん、世界旅行や宇宙への個人旅行など、大金を払わなければ経験できないこともある。

でも、もしあなたに本当にそれだけのお金があるなら、そういった経験のほうが、ポルシェのコレクションにお金を使うよりずっと質のいい投資である。(本書124~125pより)

そして、「仕事」も経験の1つであると念を押されています。

だから、「たとえ大金は稼げても、喜びをもたらさない仕事に就くのは馬鹿げている」わけです。

結婚もしかりで、「その生活を通してよい経験が得られるかどうか」が、結婚生活がうまくゆくカギとなります。

お金との付き合い方を改善する4つのルール

ドベリさんは、お金との付き合い方には4つのルールがあると言います。

1.ある程度の貯金

「ある程度」の目安は、年収と同じくらいだそうです。

この額としたのは、上司と喧嘩するなどして、不本意に勤務先を辞めざるをえなくなっても、当面は経済的に困らず、今後の見通しを客観的につけられるから。

まだ、貯金額がそこまででなければ、出費は極力抑え、早期の貯蓄を目指すようアドバイスがされています。

2. 所得額や資産額のわずかな変動に、いちいち反応しない

株価の1%の上下などに一喜一憂せず、そもそもお金のことをあまり考えないよう心がけます。

3. 裕福な人と自分を比較しない

心理学の調査で、仕事の報奨金として「自分が1万ユーロのボーナスをもらえる」のと、「自分が1.5万ユーロ、同僚が2万ユーロもらえる」のどちらかを選ばせると、大多数の人は(額が少ないにもかかわらず)1万ユーロのボーナスを選ぶそうです。

これは、お金の価値は相対的なもので、他者との比較が影響するという好例です。

そのため、ドベリさんは、自分より裕福な人を含め誰とも、資産額で比較しないことをすすめます。

4. あなたが大金持ちでも生活は質素にする

これは周囲の妬みを避けるのと、贅沢な生活をしても、さほど幸福度は向上しないからです。

なにしろ世帯収入が10万ユーロを超えると、それ以上はいくら収入が増えても、お金によって幸福度が上がらなくなるという調査結果があります。

「質素に暮らすほうがずっと価値がある」とドベリさんは断言します。まぁ、高収入を実現してから悩んでもいいことかもしれませんが。


本書は副題に「よりよい人生を送るための思考法」とあるとおり、上記のお金にまつわる思考法のほかにも、人生におけるさまざまな論点について、目から鱗の知見が散りばめられています。

日本でもベストセラーとなっており、読む価値は十分あるおすすめの1冊です。


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Image: Shutterstock.com

Source: サンマーク出版

鈴木拓也

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