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1ドル/日で1.5時間削減?メール高速化アプリ「Superhuman」で新しいメール体験

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1ドル/日で1.5時間削減?メール高速化アプリ「Superhuman」で新しいメール体験
Image: Superhuman

1日1ドルで1.5時間もらえるとしたら…アリ?

みなさん今、メールってどれくらい使われているでしょうか?

この数年、友だちとのやりとりはLINEとかFacebookメッセンジャーといった比較的新しいツールに移行していった人が多いかと思います。

仕事上のやりとりは、ある程度はSlackとか何らかのメッセンジャーにシフトしたかもしれませんが、特に自分の組織外の人が相手の場合、メールになることがまだまだ多いのではないでしょうか?

メールって少なくとも原型はインターネットそのものよりも古いと言われていて、それがちょっとずつ進化して、POP・SMTPといった仕組みが決まったり、Gmailみたいなサービスができたりしていきました。

2010年代も終盤の今、そろそろ抜本的にメール体験を考え直したらどうなるか、それも万人向けじゃなくてメールのヘビーユーザー向けにガラっとやり直したらどうなるか、を実際作ってみたのが、Superhumanです。

今、シリコンバレーのテック関係者を中心にファンを集めていて、New York TimesTechCrunchなどが相次いで取り上げています。

メールに年間4万円かぁ…

Superhumanの何がそんなにすごいかって、まずターゲットを「1日3時間以上メール処理に費やす人」に絞り込んで、あらゆる処理や操作の高速化にこだわっている点です。

そしてその分有料、ってだけでも強気なんですが、その料金は月々30ドル(約3300円)もかかるんです。

Netflixはスタンダードが月1200円、Spotifyは月980円、と比べると、かなりの金額です。お金がかかるだけじゃなく、登録のときはメールの使い方とかイラッとすることとかをアンケートで答えなくちゃいけなくて、全体的に敷居が高めです。

それでも今、18万人もの人がウェイティングリストに登録して、Superhumanからの招待を待っている状態だそうです。

MosaicやNetscape Navigatorの作者、マーク・アンドリーセンも絶賛していて、自身のベンチャーキャピタルであるアンドリーセン・ホロヴィッツから出資もしています。

先日Superhumanは、アンドリーセン・ホロヴィッツを中心に3300万ドル(約36億円)の資金を集め、企業価値は2.6億ドル(約290億円)に上ると推定されています。

1日3時間が、1.5時間になるとしたら

で、月30ドル、年間360ドル(約4万円)で、具体的に何ができるんでしょうか?

Superhumanいわく、従来の2倍のスピードでメールをさばけるそうです。

1日3時間をメールに使っていた人がその時間を1.5時間にできれば、1.5時間はフリータイムになります。

本当に毎日1.5時間もらえるなら、1日1ドルくらい払える!と思う人は少なくないと思います。

Superhumanでは、たとえば「Command+;」で定型文挿入、「Command+U」でメルマガの登録解除、といったショートカットが無数に用意されています。

また画面デザインはシンプルに徹し、操作に対する反応には「100ミリ秒ルール」を適用、ユーザーが何かしたら10分の1秒以内にそれが画面に反映されるようになっています。

初期のGmailでも同じルールが使われていて、「『一瞬でできた』と感じる時間は100ミリ秒」という法則に基づいているそうです。

でもショートカットって覚えるのが大変だし、結局あんまり使わないのよね…と思われるかもしれません。

なのでSuperhumanでは、最初に1対1の動画チャットによるチュートリアルがあって、ユーザーも学習する必要があります。

また使っている間も、マウスで操作すると「その操作にはこのショートカットが使えるよ」というメッセージがさり気なく表示されます。

速いだけじゃないリッチな機能

さらに、一般的なメールに欠けている細やかな機能がいろいろあります。

たとえば送ったメールの未既読がわかるだけでなく、いつ読まれたか、複数回読まれた場合はそれぞれいつだったか、メール内のリンクを開いたか、添付ファイルを開いたかといったことまで把握可能です。

うっかり間違って送ったメールを取り消すこともできます。

またメール相手のTwitterやFacebook、LinkedInの情報表示機能もあり、メールだけでなく「別アプリで調べる手間」まで省いてくれています。

この「メール相手のソーシャルメディア情報を表示させる」機能はもともとRapportiveってアドオンのものだったんですが、それを作ったRahul Vohra氏はRapportiveをLinkedInに売却、その後Superhumanを作ったんです。

ちなみにこれらの機能は、今のところGmailとかG Suiteのユーザーに対してのみ提供されています。

ユーザーはSuperhumanのインターフェースを経由して、GmailとかG Suiteに保存されているメールにアクセスする形です。

プライバシーなど、課題も明らかに

ただ、注目されると逆風も吹いてくるっていうパターンで、最近「Superhumanはプライバシーに問題がある」っていう指摘があがってきました。

上に書いた「送ったメールがいつ読まれたか」の確認機能に付随して、それが「どこで読まれたか」までわかる機能が入っていたんです。

問題を指摘したMike Industriesは、あるメールが9回読まれた場合の例として、13時間前にカリフォルニア州、20時間前にオランダ(国)、その前はフロリダ州…と、メール相手の移動履歴が丸わかりになってしまうログを示しています。

Superhumanはこれにすぐさま対応し、位置情報のトラッキングはすぐに廃止すること、既読のトラッキングはデフォルトではオフにすることを宣言しました。

またメールの受信側でトラッキングをオフにする方法も紹介していますが、その方法はそもそもトラッキングされていることを意識している人でないとできないものだし、ちょっと面倒でもあります。

なので、今後はより良い方法も模索したいと言っています。

課題はありつつ、期待

Superhumanにとっての課題は、プライバシーだけじゃありません。

New York Timesでは、スタートアップに全メールへのアクセスを許せる人がどれだけいるのかも疑問視しています。

Superhumanでは自社サーバにユーザーのメールを保存しないと言ってるそうですが、とはいえユーザーのGmailアカウントに自由にアクセスできる状態です。

「何かあったときに怖い」という可能性はGmailそのものにもありますが、新しいサービスや会社の場合、その「何か」のレベルがどこまでいくかわからない不安感があります。

またそもそも月30ドルも払ってメールを使いたい人が、どれくらいいるのかって問題もあります。

TechCrunchの記者は、Superhumanを半年使ったものの結局解約してしまい、今はGmailにいろんなショートカットを割り当てるだけでもそこそこ効率化できていると言っています

また同等の機能を実現できるという意味では、GmailとかMicrosoftのOutlookといった大手のサービスが、Superhumanの機能をコピーしてしまう可能性もあります。

ただユーザー側からすると、大手がスタートアップの機能をコピーするのは、中の人には申し訳ないけどうれしいことかもしれません。

たとえばAppleは毎年いろんな機能をあちこちから拾ってきているし、Googleしかりです。

無限のリソースを持つ大手の存在は、Superhumanみたいなスタートアップにとっては脅威でもありますが、RapportiveをLinkedInに売却したVohra氏は、そのへんもたくましくさばいてくれそうな気がします。

個人的には、20年以上使ってきたメールの体験が大きく変わるのかも、と思うとワクワクします。

大手にコピーされるかも、っていう可能性は、今筆者はウェイティング中なので実際Superhumanは使えてないのですが、直近のプライバシー問題への対応も含めて、引き続き注目していきます!


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Image: Superhuman

ギズモードジャパンより転載(2019.07.09)

福田ミホ

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