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HOW I WORK

雑誌×ライブショー。ライブ感覚で楽しむ雑誌『Pop-Up Magazine』の生みの親ダグラス・マクグレイさんの仕事術

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雑誌×ライブショー。ライブ感覚で楽しむ雑誌『Pop-Up Magazine』の生みの親ダグラス・マクグレイさんの仕事術
Photo: Jake Stangel

敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ仕事術「HOW I WORK」シリーズ。今回はステージの上でライブショーの形で観せる雑誌『Pop-Up Magazine』の生みの親でありエディターもしているダグラス・マックグレイさんの仕事術です。

ダグラス・マクグレイ(Douglas McGray)さんが初めて作った雑誌『Pop-Up Magazine』は紙に印刷された普通の雑誌とは全く異なるものです。

それはステージの上で雑誌の記事をさまざまなテクノロジーを駆使したライブバライエティショーの形で見せる三次元の雑誌で、現在はライブツアーの真っ最中です。

マクグレイさんはほかにCalifornia Sunday Magazineも運営しています。

こちらは、カリフォルニア、アメリカ西部、アジア、ラテンアメリカのことを記事にした週刊誌で、従来の雑誌と同じく紙に印刷された雑誌です。

そんなマクグレイさんに、ライブショーの作り方、専門分野を超えたコラボに関する哲学、お気に入りの時短術について、聞いてみました。

居住地:カリフォルニア州サンフランシスコ

現在の職業:『Pop-Up Magazine』 と『The California Sunday Magazine』の共同設立者兼編集長

仕事の仕方を一言で言うと:実験的

現在の携帯端末:iPhone

現在のPC:Macbo

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── まず、略歴と現在の仕事に至るまでの経緯を教えていただけますか?

私は最初は雑誌に長編の特集記事を書くライターをしていました。

その後、『This American Life』という雑誌で仕事をして、ラジオの世界に心を引かれるようになったのですが、ラジオにはラジオ独自の世界があることに愕然としました。

私はライターなら星の数ほど知っていましたが、ラジオのプロデューサーはほとんど誰も知りませんでした。

そう考えてみると、映画の制作者も写真家もあまり知らないことに気づきました。そのうちに、こういうコミュニティを集合させてみたらどうだろうと考えるようになりました。

ライターは人に読ませる文章を書き、写真家はギャラリーショーがあり、映画制作者は映画上映やフェスティバルがあります。私はさらにクリエイティブな融合を目指したいと思いました。

それで、友人たちと集まって、ライブマガジンというアイデアが生まれました。

ライター、ラジオやポッドキャストのプロデューサー、写真家、映画制作者がサイエンス、ポップカルチャー、政治、フード、音楽、戦争、アート、コメディなど身近な世界の新しい話題をそれぞれのやり方でアウトプットするのがPop-Up Magazineです。

当初は本業の合間にしていましたが、このアイデアは軌道にのりました。

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Pop-Up Magazineのステージで。ダグラスさんとストーリープロデューサーのAnita Badejoさん
Photo: Jon Snyder

2014年にPop-Up Magazine Productionsという会社組織になり、現在は、ニューヨークのリンカーンセンターやBAMハワード・ギルマン・オペラハウス、サンフランシスコのシンフォニーホール、ロサンゼルスのエースホテルの劇場など、全米でライブショーをしています。

我が社のショーはどんどん劇場的になってきています。オリジナルの写真、映画、アニメーション、イラストレーションを駆使してアート志向のストーリーを展開しますし、ハウスバンドのMagik*Magik Orchestraのライブはオリジナルの音楽で人気を博しています。

ニューヨークタイムズのジャーナリストとシャドーシアター(影絵)の会社を組ませて、そのジャーナリストの記事をライブの影絵ショーで表現しました。

その結果、数千人の観客が同時に人種や国際紛争に関するストーリーを鑑賞しました。あるいは、ダンサーとドキュメンタリー映画制作者をライブでコラボさせたり、レストランを雑誌にしてしまい、そこでミュージシャンのBeckとコラボしてライブ音楽や朗読ショーをやりました。

ボイスメールにして聞かせるストーリーも制作しました(チケットをご希望の方はこちらからどうぞ)。

『The California Sunday Magazine』という週末版の雑誌も創刊しました。カリフォルニア、アメリカ西部、アジア、ラテンアメリカ全土で展開しており、深堀したレポートと映画のような写真がウリです。

印刷版は年に6回、『Los Angeles Times』 と『San Francisco Chronicle』の日曜版と一緒に配達されるか、購読者に郵便で届けられます。

『California Sunday』は、かなり早く軌道に乗り、2014年の創刊以来今年も含めて、National Magazine Awardsの10部門でファイナリストになりましたし、写真・デザイン部門では最優秀賞のGeneral Excellenceを受賞しました。

2、3年前には、Society of Publication Designers(出版デザイン協会)が『California Sunday』をMagazine of the Yearに選びました。

趣味ではじめたことが、かなり大胆な進化を遂げています。

──『Pop-Up Magazine』と『The California Sunday Magazine』の制作プロセスを教えてください

どちらもプロセスの出だしはほとんど同じです。

私たちは、コントリビューターとアイデアをハントしに出かけます。そして、コントリビューターの方もこちらを見つけるのです。

知り合いからも知らない人たちからも、素晴らしい持ち込みがあります。ひとたびストーリーのドラフトができあがると、コントリビューターと一緒にそれを形にして磨きをかける作業をします。

我が社の美術部門は写真、イラストレーション、Pop-Up Magazineのアニメーションや映画撮影を外部委託しています。ライブショー向けのストーリーがあると、音楽ディレクターとドラフトをシェアして、楽譜にしてもらいます。

最後に、全てを統合して雑誌にして発行するかステージの上でショーにします。

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Photo: Tom Bollier

──最近の1日の流れを教えてください

今週は、『Pop-Up Magazine』ツアー初日があり、『California Sunday』の発売もあったので、忙しい月曜日になりました。

いつも東海岸から来るメールやTwitterの処理で、私の1日は早い時間に始まります。それから、徒歩で息子を託児所に連れて行き、自転車でオフィスに行きます。

オフィスでは、読んでマークアップすべきものが山ほどありました。『Pop-Up Magazine』の最終ゲラや『California Sunday』.の長編海外特集のドラフトです。

採用面接を受けに来た応募者に短い挨拶をした後は(最近新しく開いたポジションの求人広告を出しました)、ミーティングの連続でした。

午後も後半になると、ギアを入れて1時間か2時間じっくり1つのことを考えなければなりません。『California Sunday』の次回は特別版を予定していて、今は詳しくは言えませんが、それを特別なものにしようとしているからです。

その後、自転車で音楽のリハーサルに行き、音楽ディレクターの話と彼女がライブ用楽譜を作った『Pop-Up Magazine』のストーリーを聞きました。それが終わると、自転車で帰宅して父親に戻りました。家中が寝静まる頃、独りで遅くまでメールを送信しました。

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Photo: Tom Bollier

── 「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは?

間違いなくSlackです。会社単位で常にSlackを使っています。

Slackがなかったらどうやって仕事を片づけたらいいかわかりません。あと、Sonosのスピーカーでオフィスを楽しくしています。

── 仕事場はどんな感じですか?

我が社はサンフランシスコの大型工業ビルの中にあります。

スペースは豪華ではありませんが、「物を作っている場所」という感じがするので、私は気に入っています。

1つのテーブルに4人座っていて、テーブルの間隔は狭くなっています。クリエイティブディレクター、『California Sunday』のエグゼクティブディレクター、『Pop-Up Magazine』の共同ホスト、シニアプロデューサーの4人が全員私から1メートルぐらいのところに座っています。

私はあまり個人的なスペースがないので散らかすこともなく、自分のデスクは整理整頓しておくように努めています。

ラップトップをつなげている27インチのディスプレー、ラジオを聞いたり映画の編集をするとき使うヘッドフォン。

電話がかかってきたときや音楽を聴くためのエアポッド、手書きでメモをするための『California Sunday』のメモ用紙と『Pop-Up Magazine』のメモ用紙があります。

デスクの下には、マランツのレコーダーとショットガン型マイクを入れた袋が置いてあります。

──良いライブショーを作るとき最も見逃されがちなことは何ですか?

想像力だと思います。洗練されたプロらしいショーをプロデュースできても、それではありきたりで人の記憶には残りにくくなります。

私たちは、人々を驚かそうと本気で頑張っています。聴衆の意表を突くようなストーリーを演じるべく、今までやったことがないことを常にやろうとしています。

人の心に残るようなショーにしたいからです。

── お気に入りの時間節約術やライフハックは何ですか?

私はどこにでも自転車で行くことにしていて、たいていは文字通り時間の節約になっています。

でも、もしかしたら、自転車に乗っているときが物を考えるのにベストなときかもしれません。午後中悩んでいた問題が、自転車でミーティングに向かう途中で解決できたりします。

さらに、カリフォルニアに住んでいるので、ほぼ毎日天気が良く、自転車を乗り回すのにおあつらえ向きです。

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右からダグラス・マクグレイ、クリエイティブディレクターのLeo Jungさん、写真担当ディレクターのacqueline Batesさん
Photo: Tom Bollier

── どんな人たちからどのように仕事を助けてもらっていますか?

私の仕事がうまくいっているということは、周りの人たちが良い仕事をしてくれているということです。

私の仕事は、自分以外の人の仕事の完成を手伝うことだからです。常に成功するとは限りません。あまりにも背伸び過ぎて物事の進捗が遅くなったり、細かく管理し過ぎたりすることもあります。

でも、私は最善を尽くしますし、どんどん腕が良くなっています。

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California Sunday Magazine 2018年2月号
Photo: Trent Davis Bailey

──ToDoはどうやってトラッキングしていますか?

これは仕事の進化と連動して進化しています。

私は今までポストイットに手書きでToDoを書きつけるシンプルな方法が良いと思っていましたが、毎日がどんどん速く複雑になってきたので、今は、いろいろなツールを試しています。

──仕事の合間に何をするのが好きですか?

今していることすべてです。私の場合、サイドプロジェクトが本業になりました。

──今、何を読んでいますか? おすすめの本はありますか?

Daniel Alarcón著『The King Is Always Above the People』 です。

──今日あなたがされたのと同じ質問をしてみたい相手はいますか?

Daniel Alarcónさん(作家)、Lena Waitheさん(女優)、Samin Nosratさん(シェフ)です。

──これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください

一言では言えません。

私はキャリアのほとんどをジャーナリストとして過ごしました。ジャーナリストの仕事は他人から情報を得て学ぶことです。これは今でもやめられません。常に周囲の人たちから学んでいます。

──改善しようとしていることはありますか?

自分でするか、人にやってもらうか適切に判断できるようになりたいです。

でも、この問題を本当に解決することは絶対無理だと最近思いはじめています。

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Photo: Jake Stangel, Jon Snyder

Source: Pop-Up Magazine, California Sunday Magazine, Magik*Magik Orchestra, Amazon

Nick Douglas – Lifehacker US[原文

訳:春野ユリ

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