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大事なのは「なにを言うか」ではなく「なにを質問するか」。質問が持つ7つの力とは?

大事なのは「なにを言うか」ではなく「なにを質問するか」。質問が持つ7つの力とは?

質問 7つの力』(ドロシー・リーズ著、桜田直美訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、一流企業の重役など50万人以上を指導し、講演活動やテレビ・ラジオ出演、新聞・雑誌への寄稿をも行っているという講演家、コミュニケーション・コンサルタント。

過去には女優、教師、広告代理店の重役、ニットウェアのデザイナー、会社経営などさまざまな仕事をしてきたといいますが、そのような経験を経て気づいたのが「質問」の重要性だったのだそうです。つまりそれが、結果的には講演家としてのキャリアに結びつき、本書につながっていったということ。

日々の生活からキャリアまで、質問が私たちの人生を司っている。本書の目的は、質問が持つ力と、その力を利用して人生を向上させる方法を、あなたに伝えることである。その力がなかったら、地図を持たない旅行者のようになってしまうだろう。しかし質問の力があれば、人生をコントロールし、どの道を進むべきかを知ることができる。他人や自分にもっと質問をすることができたら、どんな感じがするか想像してみよう。どれほど人生がすばらしいものになるか、想像できるだろうか?(「はじめに」より)

具体的には、欠くことのできないコミュニケーションの道具でありながら、価値が省みられなくなってしまった「質問」について詳しく検討しているわけです。しかし、そもそもなぜ質問が重要なのでしょうか? 実際のところ、「たかが質問じゃないか」と感じる方も少なくはないかもしれません。

そこできょうはその点を解明すべく、質問の価値について説かれたPart1「今、なぜ『質問』なのか」をクローズアップしてみたいと思います。

よりよい質問が人生を変える

話をしようと口を開いたとしたら、その人にはふたつの選択肢が用意されていると著者は言います。それは、意見を述べるか、もしくは質問をするか。でも答えは出ていて、当然のことながら著者が勧めているのは質問をすること。

質問をすると、人生を変えることができる。実際、質問をすることで、私たちは自分の奥深くにまで入り込んで心の動きを検証し、そして人生を変えるような行動を起こすのである。(16ページより)

著者によれば、人は誰でも、自分には人生を変える力があると信じたがっているもの。ところが現実問題として、人生の大半を占めているのは後退、失敗、不満などなど。だから結果的に私たちは後ろ向きになってしまい、答えのない質問ばかりをしてしまうというのです。

「なぜ私ばかりがこんな目に?」

「なぜ私はなにをやってもだめなんだろう?」

しかし、質問する側がそんな状態だったとしたら、多くの場合、ネガティブな答えしか返ってこないでしょう。「お前がばかだからだ」「人は自分に値するものしか手に入れられないーーもちろんお前は、その程度のものしか手に入れられない人間なんだ」というように。

そうなると必然的に、人に質問するときにも、ネガティブな答えにつながる質問をしてしまうことが多くなってしまうはずです。

「なぜいつも私をこんな目にあわせるのか?」

「なぜそんなひどいことを?」

しかし、この種の質問に、理性的で前向きな答えを返すことはほぼ不可能。つまりポジティブな答えを得たいのであれば、質問の仕方を変える必要があるというわけです。

質問の仕方を変えれば、人生の焦点も変わると著者は主張しています。正しい質問をすれば、前に進み、困難を乗り越えることができるとも。よりよい質問はよりよい答えを生み、よりよい答えはよりよい解決策を示してくれるというわけです。

つまり質問する力を向上させることができれば、家庭でも職場でも、人間関係を向上させることができるということ。(16ページより)

なにを「言う」かではなく、なにを「質問する」か

著者は本書の目的について、「読者が頭と心の働きを大きく変え、いままでとは違う新しい考え方をするようになり、毎日直面する状況をさらによく理解できるよう、手助けをすること」だと記しています。そして、それを達成する唯一の手段は、質問をすることだというのです。

自分にもっと質問をし、他人にもっと質問をする。自分の人生を少しでも変えれば、世界を大きく変えることができるかもしれない。ただ質問の数を増やすだけで、大きな転機をつくりだすことができるのだ。(18ページより)

ちょっとした方向転換だったとしても、そこからまったく新しい道が見えてくることもあるでしょう。なにも、転機は180度の転換ではなくてもかまわないというわけです。

自分が円の真ん中にいると想像してみましょう。そのとき、まっすぐ前に進めばA地点にたどり着くことになります。しかし、同じ場所から歩きはじめても、足を前に出す角度をほんの少し変えれば、まったく違った場所にたどり着くかもしれません。

少しずつ毎日の質問の量を増やし、質を上げていけば、人生を新しい方向に向かわせることができるということ。そして、欲しいものや必要なものが、もっと手に入るようになるということ。実際、質問の習慣を身につければ、すべてのことからもっとたくさんのものを手に入れられるようになるというのです。

だからこそ、すべての状況において、次に自分がなにを「言う」べきかを考えるのではなく、なにを「質問する」べきかを考えるようにすべきだという考え方です。(18ページより)

質問には七つの力がある

情報化社会における勝者は、もっとも多くの情報を持つ者。正しいときに正しい情報を手に入れることがいまほど重要な時代はなく、また、よりよい情報を手に入れるためによりよい関係を築くことが、いまほど重要な時代もないということです。

そんななか、私たちに必要とされるのは、個人の能力のレベルアップと同時に、互いの基本的な違いを理解すること。一方でコミュニケーションのスタイルも複雑化しているため、相互に理解し合うことは容易ではありません。

そこで、その難問に立ち向かうために、質問の力を用いようと著者は提案しています。なぜなら質問をする技術というものは、巨大企業グループを統括するCEOから、「いまなにをしようか」と悩む高校生まで、万人の役に立つものだから。

そして、たとえば管理職がコミュニケーション能力を高め、チームワークを促進させたいのであれば、そのための効果的な方法が質問だというのです。たとえば、次のような。

「これは部下にとって成長できる経験になるだろうか、それともただの仕事だろうか?」

「部下たちは、私が彼らに何を期待しているかはっきりわかっているだろうか?」

「私のオプションは何か?」

「今目の前にあるこの問題は、もっと大きな問題の一部だろうか?」

(21ページより)

私たちはみな、なんらかの意味で管理職であると著者は言います。自分の人生を管理し人間関係を管理するわけです。そして私たち全員にとって、そして人生のすべての側面において、足りないものは質問なのだそうです。

1. 質問は答えを引きだす。誰かに質問をされると、答えないわけにはいかなくなる。この種の義務感を、私は「応答反射」と呼んでいる。

2. 質問は思考力をきたえる。質問をすると、質問をした人もされた人も、思考が刺激される。

3. 質問は貴重な情報を引きよせる。正しい質問をすると、自分が欲し、必要としていた特定の情報や、それに関連する情報が手に入る。

4. 質問は状況をコントロールする。人は状況を支配したとき、もっとも安心と自信を覚える。

5. 質問は人の心をひらく。自分について語ることを求められたり、意見や見解やアドバイスを求められたりしたときに、私たちはいちばん自尊心をくすぐられて嬉しくなるものだ。質問をすると、相手の人となりに興味を持っていることや、相手の意見を知りたいと思っていることを相手に伝えることができる。そして、自分に興味を持たれると、どんなに無口な人でも、自分の感じていることや意見について、すすんで話そうとする。

6. 質問は聞き上手につながる。正しい質問をする能力を磨いていくと、より的確で当を得た答えが手に入るようになり、その結果、ある状況においてもっとも大切なことに集中できるようになる。

7. 質問は人をその気にさせる。人は自分の言ったことを信じる。あなたが言ったことではない。彼らは自分で思いついたことを信じ、そしてうまい質問をすれば、彼らの気持ちを狙った方向へ持っていくことができる。質問は、説得術のなかでもっとも見過ごされている道具である。 (22ページより)

著者によれば、これが「質問が持つ7つの力」。過去10年にわたり、質問の役割と、コミュニケーションにおける質問の役割について研究を行ってきた結果、発見したものなのだそうです。(20ページより)




以後の章では、これら「7つの力」ひとつひとつを細かく掘り下げ、わかりやすく解説しています。著者の体験談も豊富に盛り込まれているため、読者はそこに書かれていることを自分自身にあてはめて考えてみることができるはず。そういう意味では、実用的な側面を備えた1冊であると言えそうです。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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