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「成果の出せる部下」を育成するための「壁マネジメント」とは?

「成果の出せる部下」を育成するための「壁マネジメント」とは?
Photo: 印南敦史

「チームが望ましい成果を上げられない」

「部下がなかなか、みずから動こうとしない」

「成果を求める上司、自主性のない部下の板挟みになっている」

「結局、自分でやったほうが早い…」

「壁マネジメント」部下の行動をもれなく結果に結びつける!』(山北陽平著、あさ出版)の著者は、企業コンサルタントとして、大企業から中小企業の経営者や中間管理職のコンサルティングをしていると言う人物。実際に現場に入って指導をしていると、上記のような悩みを聞くことがとても多いのだそうです。

上司(マネジャー)の仕事もいろいろですが、突き詰めれば「部下をマネジメントすること」。なのに、いくらマネジメントしても部下が動かず、チームが成果を上げられないのだとしたら、それはマネジメントが足りないから、あるいは的を外したマネジメントをしているから。

そう主張する著者のコンサルティングの大きな柱のひとつが、本書の主題である「壁マネジメント」

「壁マネジメント」とは、部下の「成果の出ない望ましくない行動」をマネジャーがみずから「壁」となって防ぎ、「成果の出る望ましい行動」へと向かわせ、「やりきるチーム」を作るマネジメント術(図版①)。

(「はじめに」より)

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Image: あさ出版

現場指導と「NLP理論」「行動分析学」に基づいて体系化したもので、業種を問わず成果を上げているのだそうです。なお、ここでいう「やりきるチーム」には、次のような3条件があるのだといいます。

①決めたことをやりきる (マネジャーが部下がとるべき行動を決める)

②マネジャーのやるべきことをやりきる (決められた行動を部下にやりきらせるために、マネジャーがとるべき行動をやりきり、組織に与えられた役割をやりきる)

③組織に与えられた役割をやりきる (売り上げ目標の達成やプロジェクトの成功など、組織の上位方針を実現していく)

(「はじめに」より)

これら①~③は、すべてつながっているもの。マネジャーの役割は、求められた成果を出せる部下を育てること。そこで、「なにを、どれだけ、すればいいのか」を具体的、かつ100パーセント実践できる形で示していく。それが「みずから壁になる」ということ。そして「壁マネジメント」とは、こうした部下教育を効率的に行える方法だというのです。

第1章「『壁マネジメント』とは何か?」を確認し、その基本的な考え方をさらに掘り下げてみましょう。

これが「壁マネジメント」だ!

マネジャーの仕事は、部下というリソースを使ってチームの成果を上げ、組織の上位方針を実現していくこと。しかし、成果が上がらないのだとしたら、それは現在の部下の行動が、「成果の出る、望ましい行動」になっていないから。

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Image: あさ出版

上記(図版②)で見てみると、矢印のひとつひとつが部下の行動。しかしこの「行動の川」には、見てのとおり分岐点があります。上に流れているのが「望ましい行動」で、流れの行き着く先は「成果」。一方、下に流れているのは「望ましくない行動」で、この行動は成果に結びついていないわけです。

注目すべきは、マネジャーが指示を与えているにもかかわらず、部下の行動が「望ましい行動」だけになっていないこと。指示は受けたが「できなかった」「やらなかった」「それでもなにも言われなかった」ということで、こんなことが続くと、部下のなかには「上司の指示は、できなかろうが、やらなかろうが、大丈夫」という考えが生まれるもの。そして、「望ましくない行動」が常態化していくことになります。

上司の指示に従わない部下が悪いという考え方もあるでしょうし、たしかに部下にも問題はあります。とはいえ、自分が出した指示を部下に「やりきらせる」こともマネジャーの仕事。「上司の指示に従わなくても大丈夫」という感覚が普通になっているのなら、責任はむしろマネジャーにあるということです。

いまのやり方で部下が動かないのだとしたら、部下が動くようなやり方に変えていくべき。そこで、上記(図版①のような「壁」が必要になるという考え方です。

「壁」とは、「部下に実行させる」と決めた行動に関して、「望ましくない行動」へと流れないように介入すること。 つまり部下の「行動の流れ」に、マネジャーがどんどん入り込んでいくということです。(26ページより)

自分が介入することで。部下の「望ましくない行動」をせき止め、部下の行動がもれなく「望ましい行動」になっていくようにするということ。そうすることにより、できるだけ少ない手間暇で、確実にチームの成果が上がるようにしていく、それが「壁マネジメント」の基本イメージだというのです。(22ページより)

成果を出すために必要なのは「たったひとつ」のこと

多くの場合、部下が成果を出せないのは、本人の性格や意欲のせいではなく、部下の行動が「望ましい方向」に流れていないため。そこで求められている成果を出すには、その成果を出すために必要な「望ましい行動」を必要なだけ実行する必要があるわけです。

著者によればこれが、「V(バリュー/価値)=B(ビヘイビア/行動)の法則」(図版④)。どんな職種にも共通する、シンプルな法則だそうです。

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Image: あさ出版

上司から指示が出されても、それを必ずしもまっとうしなくても「なんとかなってしまう」という状況に甘んじている部下はいるもの。しかも社会人経験の浅いその時点では、仕事のイロハがわかっていない可能性もあるでしょう。

だとすれば、まずは彼らができることを導き出し、指示し、「やりきらせる」ことが重要な出発点になるという考え方。そこから少しずつ、求めるレベルを上げ、成長させていけばいいということです。

精神面などではなく、実質的な仕事という面において、部下を成長させられるのは、メンターでもリーダーでもなく、彼らの成果にもっとも直接的に関わっている上司、マネジャー。だからこそ、「成果の出る望ましい行動」以外の行動へ流れてしまわないように、しっかり「壁」をつくり、もれなく成果が出る方向へと、部下の行動を変えていくことが大切だということです。(28ページより)

「壁マネジメント」3つのルール

では、具体的に部下になにをどう指示し、どう介入し、行動を変えていけばいいのでしょうか? そのことを理解するための前提として著者は、マネジャーにまずは次の3つのルールを設定してもらっているのだそうです。

1.「行動ルール」

2.「介入ルール」

3.「フィードバックルール」

(41ページより)

1.「行動ルール」は、マネジャーから部下へ「こういう行動をしてね」と指示するもの。その設定次第で成果の出方も変わってくるため、非常に重要なプロセス。そして行動ルールのポイントは、次の3つ。

・「成果」に結びつくもの

・部下が「100パーセントやりきれる」こと

・「数字」という「具体的で、間違いようのない共通言語」によって、示されるもの。

(42ページより)

2.「介入ルール」は、部下の行動と結果を把握するルール。「行動ルール」を設定したあとには、その行動がやりきれているかどうか、結果はどうなっているか、部下の行動結果を把握する必要があるわけです。なお介入ルールは、次の3つがセットになっているそうです。

・毎日、行動の予定を確認する「リマインド型介入ルール」

・毎日、行動の結果を確認する「アフター型介入ルール」

・週に1度、行動の結果をまとめて確認し、必要に応じて翌日からの計画を立て直す「累積型介入ルール」

(45ページより)

3.「フィードバックルール」は、行動を根づかせるためのルール。「行動ルール」を設定して部下に指示を出し、「リマインド型」「アフター型」「累積型」の介入を行っただけでは行動ルールは習慣づかないもの。そこで、部下が行動ルールのとおりに行動したら「ご褒美」を与え、行動しなかったら「ペナルティ」を与える。

そうすることで「望ましくない行動」が消え、「望ましい行動」が続くようにできる。それが、フィードバックルールの目的だということです。(41ページより)




こうした基本的な考え方に基づき、以後の章では「壁マネジメント」の活用法がより詳細に解説されていきます。とてもわかりやすいアプローチが貫かれているため、そのノウハウを無理なく吸収できるはず。部下の行動を、いまよりも大きな結果に結びつけたいというマネジャーは、ぜひとも目を通しておきたい1冊です。

Image: あさ出版

Photo: 印南敦史

印南敦史

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