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動くなら今? 狙い目は? 転職市場のプロに聞く「成功する転職のセオリー2018年版」

動くなら今? 狙い目は? 転職市場のプロに聞く「成功する転職のセオリー2018年版」
Photo: ライフハッカー[日本版]編集部

2018年5月の転職求⼈倍率は1.78倍。リクルートキャリアによる転職支援サービス「リクルートエージェント」の利用者を元にしたデータですが、公共職業安定所(ハローワーク)による職業紹介においても1.38倍となっています。まさに「売り手市場」であり、2014年からこの5年で数値は上り調子の活況です。

転職をするにしても転職をしないにしても、「自分のキャリアを見直す=リキャリア」にとっても格好の時期でしょう。

より良い働き口を見つけるには、どのような心がけや準備をすればよいのか。いま、注目すべき業界やポイントは何か。僕らの転職の第一歩に明るい光を照らすべく、転職業界に携わるプロフェッショナルが集うリクルートホールディングスを訪ねました。

今回は『B-ing』『Tech総研』『アントレ』といったメディアの編集長を歴任し、現在は転職サイト『リクナビNEXT』や、ウェブメディア『リクナビNEXTジャーナル』でも編集長を務める藤井薫さんにインタビュー。30年近く転職市場を見つめてきた藤井さんに、「昨今の転職市場の傾向」「スムーズな転職活動のためにやっておくべきこと」を教わります。

<目次>

  1. 鍵を握るのは「デジタルトランスフォーメーション」
  2. 転職・認知の壁を壊せ!「メルト化する職種」で可能性が開ける
  3. 「人生100年時代」だからこそ働きたい、キャリアを築く3タイプの企業
  4. リキャリアしたいなら、まず実行すること4つ
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藤井 薫(ふじい かおる)

1988年慶応大学理工学部卒業。リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。B-ing、TECH B-ing、Digital B-ing(現リクナビNEXT)、Works、Tech総研の 編集、商品企画を担当。TECH B-ing編集長、Tech総研編集長、アントレ編集長・GMを歴任。 2007年より、リクルートグループ固有のナレッジの共有・創発を推進する リクルート経営コンピタンス研究所 、グループ広報室に携わる。 2014年より、リクルートワークス研究所Works編集兼務。 2016年4月、リクナビNEXT編集長就任。 リクナビNEXTジャーナル編集長、Tech総研編集長兼務。

鍵を握るのは「デジタルトランスフォーメーション」

「現在は、ここ30年くらいの流れで見ても、企業も転職者を受け入れやすくなっている」と藤井さん。その理由は大きく2つ。まずは、景気が良くなったことによる「売り手市場」であること。そして、労働人口が減っていくシナリオへの直面です。

今後の日本は人口が1億人を割り、2050年までには人口が8千万人以下になっていくといわれます。景気に関わらず働き手が少なくなるため、「企業は少人数で付加価値を上げる」方向性にシフトしていく」(藤井さん)

というのが藤井さんの見立て。

その際に鍵を握るキーワードが「デジタルトランスフォーメーション」。効率化などを図る目的で既存事業のデジタル化を推し進めている業界、あるいは今後その変化を起こしたい業界は、転職者を積極的に受け入れています。

リクルートキャリアが調べた2018年5月末時点での転職求⼈倍率を見ると、求人倍率が高い(=人材1人当たりに対して、オファーをしたい企業が多い)職種や業界は以下の通り。

【職種別】

  • インターネット専門職 (5.33倍)
  • 組込・制御ソフトウエア開発エンジニア (4.48倍)
  • 建設エンジニア (4.24倍)

【業界別】

  • コンサルティング業界 (6.85倍)
  • インターネット業界 (4.22倍)

もとからデジタル環境にあるインターネット専門職は、Webエンジニアを含めても依然人気。組込・制御ソフトウエア開発エンジニアは、センシング技術やIoTの潮流もあって自動車業界から熱視線が。さらに、都市開発や物流においても、今後は情報技術をかけ合わせた変革がより求められていくことから、一級建築施工管理技術者や建物のプロジェクトマネジメントなどに携わる建設エンジニアにも人気が集まっています。

コンサルティング業界では、特に外資系コンサルティングからの引き合いが増加。工場のインテリジェント化、物流のデジタライゼーションといった変化が求められる現状で、それらを先導できるコンサルティングと構築ができる人が足りていない状況だといいます。

職種全般的にデジタルトランスフォーメーションをしなければいけない企業からの求人が高まっており、その需要がまったく埋まっていない状況。逆に、倍率が低い業種は既存の人的資本で成長がまかなえる、あるいは中途採用を募集してない可能性があり、転職のハードルは上がっています。中途採用ではなくアウトソーシングや非雇用人材の活用などを人的資本の戦略に挙げているとも見れます」(藤井さん)

では、現在これらの職種や業界にいる人だけが、転職市場においても有利な状況なのでしょうか。答えはYESでもあり、NOでもあります。曖昧な答えになる理由は、ここ数年で転職市場に、あるパラダイムシフトが起きたからです。

転職・認知の壁を壊せ!「メルト化する職種」で可能性が開ける

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Image: elenabsl/Shutterstock.com

そのパラダイムシフトとは、「職種の垣根が溶け始めている=メルト化」していること。現在、日本では広義のサービス業がGDPの7割以上を占めていますが、あらゆる業界が“サービス業”へ転換している「サービス経済化」の真っ只中。そこで求められる人材は、必ずしも出自が同じ業界とは限りません。

「たとえば、自動車業界はMaaS(Mobility as a Service)への関心が高まっています。旧来のように自動車を製造・販売するだけでなく、モビリティあるところすべてをサービスと捉えている。そうなると、自動車製造のスペシャリストだけではなく、自動車という存在のユーザーエクスペリエンスを設計できる人が必要になります。中心にあるのはユーザーエクスペリエンスを設計できる人材ですから、必ずしも自動車業界の出身者でなくてもいい。自動車業界は現在でこそ製造業にカウントされているが、もはや区分けは難しくなっているでしょう」(藤井さん)

ところが、いまだ転職者に根強くあるのが、職種がメルト化しているという認識を持てていないせいで、同業種同職種で仕事を探してしまう現状です。(参考:「リクルートエージェント」登録者アンケート集計結果/2018年6月

藤井さんは「認知の壁」という言葉で説明します。

「たとえば、学習塾の講師から携帯ショップの店長は、転職としてうまくいくのです。学習塾では親御さんに良い説明をして関係を構築し、受講を継続してもらえることが大切です。うまくいけば、受講者の弟や妹の入塾も期待できます。携帯ショップは買う時の意思決定者が親御さんのことが多いので、説明力が必要な上、同じようなサービスを家族間で携帯電話が増えるたびに望みます。

現場で働いているのも派遣社員やアルバイトスタッフが両者とも多いので、マネジメントの方法論が通ずる。このように業績優秀者の行動の様式や特性をコンピテンシーと呼びますが、共通するものが多いほど、転職先は開けているといえます。しかし、塾講師は同じく学習塾業界で転職先を見てしまう。これこそが認知の壁です」(藤井さん)

実際、異業種に目を向けて転職を成功する人が増えているといいます。また、データサイエンティストをはじめとして、数年前には存在すらなかった、あるいは注目に値されていなかったという職種もあります。現代の転職では、この「メルト化する職種」をいかに乗り切れるかが重要な考えとなっているのです。

藤井さんは、その可能性を探るためにも、キャリアアドバイザーの活用を勧めています。

「オンラインビジネスの基本は可視化して最適化することですが、転職についても同様です。我々のような転職エージェントやキャリアアドバイザーを上手に使ってほしい。対話の中で強みを可視化し、その強みが別の場所で生きる可能性は、あらゆる業種を普段から見ているアドバイザーだからこそ助言できることもあります。あなたの地図を持つことが、リキャリアの第一歩。それで結果、転職しなくてもよいのです。働いている企業のなかでキャリアを考え直すのも、ひとつの手だからです」(藤井さん)

「人生100年時代」だからこそ働きたい、キャリアを築く3タイプの企業

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Image: elenabsl/Shutterstock.com

さらに、働き手には「人生100年時代」というキーワードも流布され、意識の変化が訪れています。

「福沢諭吉の時代は『人生二毛作』といっていましたが、100年時代の現在は四毛作になっていくでしょう。誰もが当たり前に4回は転職するか、事業部が変わっていくように、個人のリキャリアやリコースがあり得ます。働き手がパラレルな転職キャリアをつくりはじめるわけです。日本の場合は労働人口の減少も相まって、景気循環よりも構造の問題による変化が特に大きいはずです」(藤井さん)

その前提に立つと、転職者側にも心境の変化が表れているといいます。昨今の転職者は、年収の高さよりも「キャリアアップや成長の重視」を重視しはじめたのです。(参考:「リクルートエージェント」登録者アンケート集計結果/2017年11月

「この30年の中でも新しい流れの一つです。従来は『既存の技術が活かせる』というのが転職市場で重視されていたことでした。現在のように企業が10年後も安定しているとは限らないほどに変化のある環境では、10年後のキャリアにとって成長できる場所を転職者は求めている。つまり、現在価値から未来志向へのシフトが起きているのです」(藤井さん)

では、どういった企業でキャリアを築くことが得策なのでしょうか。藤井さんによれば、自分に合う企業を見つけるには、大きく3パターンからなる「企業のタイプ」を知ることからだといいます。

1.ヒルトップ型:

ある分野で先頭をいく企業(=業界という丘の上から全体や将来を見下ろせる企業)。あるいは、経営者など特定の人物の目線から未来を追認できる、企業に参画することで将来を見通せる良さがある。

2.バッターボックス型:

現場主義で、従来のスキルを発揮できる環境にある企業。スポーツ選手が出場機会を求めてチームを移籍するように、自己研鑽をつみたい人向け。

3.ライフワークフィッティング型:

働き方を重視する企業。人生において仕事に何を求めているのかを明確にした上で、企業のカルチャーや働き方を合わせていく。

さらに藤井さんは、今までのキャリアを棚卸しする「リフレクティング」という作業が有効であると話します。鏡に写して姿を確認するように、自分が本当にしたいことや譲れないことなどをチェックするのです。リフレクティングは、キャリアアドバイザーも重視するプロセスだといいます。

リキャリアしたいなら、まず実行すること4つ

  1. 世の中の転職状況を確認する
  2. 同じ業種・職種にこだわらない認知の壁を壊す(エージェントやキャリアカウンセラーに頼るのも有益)
  3. 自分に合う企業タイプを知る
  4. リフレクティング(キャリアの棚卸し)をする

今回は藤井さんのお話に引き続き、現役のキャリアアドバイザーにも助言をいただきました。現場の目線から切り取った「転職志望者に足りないもの」などは、また明日の後編記事にて。

45歳でも遅くない!? キャリアアドバイザーに聞く「成功する転職のセオリー2018年版」

Image: elenabl/Shutterstock.com/1,2


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取材・文: 長谷川賢人 企画・編集・写真: ライフハッカー[日本版]編集部 丸山

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