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「だし愛好家」が語る、だし生活を始めるべき8つの理由

「だし愛好家」が語る、だし生活を始めるべき8つの理由

以前、『だし生活、はじめました。』という本をご紹介したことがあります。顆粒だしとだしパックしか使っていなかった著者が、毎日だしをとるようになるまでのプロセスを明かしたもの。ちょっとした思いつきで始めたのに、いまでは「だし愛好家」としてテレビやラジオに出演したり、だしのイベントまでやるようになっているのだとか。

もっとおいしい、だし生活。』(梅津有希子著、祥伝社)は、そんな『だし生活、はじめました』の続編。だし生活を満喫できる「ざっくりレシピ」を中心としながらも、だしの魅力を多角的に紹介しています。

だしは難しくない。そして、本物のだしはとてもおいしい。

かつての自分のような、「だしをとりたいけど、よくわからない」「どうしても続かない」という人の背中をポンと押して、だしをとることのハードルをグッと下げたい。そして、だし好きの輪をもっともっと広げたい。

(「まえがき」より)

きょうは、「一、だし生活を今すぐ始めるべき8つの理由」に焦点を当ててみたいと思います。

1.おいしい

だし生活が素晴らしいと思うのは、このひとことに尽きると著者。本物のだしさえあれば、日々のごはんがとてもおいしくなるというわけです。

料理本や雑誌の料理ページでは、「だしがあれば、料理がシンプルになる」というようなフレーズを見かけることがあります。しかし、だしをとっていなかったころの著者はその意味がまったくわからず、「シンプルってどういうことだろう」と思っていたのだそうです。

ところがいまでは、その意味がよくわかるといいます。「本物のだしさえあれば、料理は凝ったことをしなくても、十分おいしくなるんだ」と身をもって実感しているというのです。

極論を言うと、「味付けはもはや塩か醤油だけでいい」と思っているくらいである。(中略)おいしいだしには、醤油や塩がよく合うと、つくづく思う。(18ページより)

だしを取り入れるようになってから、「この素晴らしいうま味を、濃い味の調味料で消したくない」と思うようになったのだといいます。(14ページより)

2.かんたん

以前の著者は、「だしをとるのは難しい」「だしをとるのはめんどくさい」と思い込んでいたそうです。にもかかわらずだし生活を定着させることができたのは、「だしのとり方に正解はなく、自分流でいい」ということがわかったのと、「挫折しないだしのとり方」が身についたから。

数学のように、正しい解答があるわけではなく、自分のやり方で何の問題もないということがわかり、「そうか、だしは自由でいいんだ」と、胸にすとんと落ちたのだ。

毎日作るごはんだからこそ、負担にならない方法じゃないと続かない。いろいろ試してたどり着いたのが、「コーヒードリッパーでとるかつおだし」と、「麦茶ポットで作る昆布だし」。(19ページより)

その詳しいとり方も解説されていますが、この2種のだしをベースに、煮干だしや干し椎茸だしなど、なんらかのだしを冷蔵庫に常備し、料理や気分に合わせて使い分けるようになったのだそうです。(18ページより)

3.たのしい

かつお節などに含まれるイノシン酸と、昆布などに含まれるグルタミン酸を組み合わせることで、うま味が7〜8倍に増すという現象が、「うま味の相乗効果」

数年前にこの事実を知って以来、著者はだしのおいしさにどんどんハマっていき、「うま味」というキーワードにも敏感になっていったのだそうです。そして、尽きることのないだしへの好奇心も大きなポイントなのだといいます。

おいしいから続く。そして、やみつきになるから、やめられない。これが、わが家のだし生活が続いている要因のひとつだと思っている。(27ページより)

「うま味の相乗効果」を知ってから、「うま味しばり」で料理を考えるのが楽しくなったのだそうです。「うま味を重ねるだけで、複雑な調味料や調理法も不要で、簡単においしい料理ができるのだから」というのがその理由。(26ページより)

4.減塩

外食が多いライフスタイルだと、塩分を抑えるのはなかなか難しいもの。しかし、日々の家庭料理にだしを取り入れると、外食や外で買う惣菜、弁当の味がいかに濃いかがわかってくるといいます。

だしを料理に使うと、うま味がしっかりきいているので、塩分を減らしても薄味とは感じない。料理のおいしさや満足度を高めるのに、おいしそうな香りは欠かせないが、引き立てのかつおだしは素晴らしく豊かな香りで、さらに満足できるはずだ。顆粒だしだと、このような香りは立ちのぼらない。(32ページより)

だし生活は、将来の体のためにもメリットが多いということ。(30ページより)

5.太りにくくなる

だしはおいしくて「やみつき」になる効果があるので、「だしのきいた料理が食べたい」と、だんだん食生活がだし中心になっていくもの。すると必然的に、こってりした油たっぷりの料理をつくらなくなるため、著者の家の日々の食生活は、どんどん健康的になっていったのだそうです。

しかも、だし生活を続けていたら、甘いものを欲しなくなったというのです。「うま味感度が低下している人は甘いものが好きで肥満になりやすく、甘味感度が低下している人はうま味を好む」という研究結果があるそうで、だからこそ「だし生活=太りにくくなる」という考え方が成り立つということ。

・ こってりした食生活をしなくなる

・ 昆布の食物繊維で毎日快調

・ 甘いものを欲しなくなる

(36ページより)

これは著者の実体験をまとめたものですが、だし生活は結果として、健康的な生活にシフトしていくものだといえそうです。(33ページより)

6.意外と高くない

「昆布やかつお節は高い」といわれます。たしかに安くはないけれど、手が出ないほど高いわけではないと著者。

家にあるだし素材をざっくり計算してみたところ、真昆布1袋(100g)が650円。昆布20gで1Lの昆布だしがとれる(=130円)。つまり、みそ汁1杯200mlあたり、26円となる。かつお節だと、花かつお1袋(80g)が298円。30gで1Lのだしがとれ(=約112円)、みそ汁1杯あたり約22円となる。合わせだしにすると、約24円。みそ汁は、必ずしも合わせだしである必要はなく、昆布だし単体で作ってもいいし、かつお節単体で作っても、もちろんおいしい。(37ページより)

もちろん顆粒だしを使えばもっと安くなりますが、安い分、さまざまな添加物が加えられているのが顆粒だし。逆に「1杯20円ちょっとで、おいしくて体にいいみそ汁が飲める」「本物のだしを使うと、塩分も少なくて済むので、将来の健康維持にも役立つ」と考えれば、だしは「安くはないけど、いうほど高くもない」と著者は感じるのだといいます。(37ページより)

7.子どもの味覚を育てる

3歳までの食体験が、一生の味覚を左右するなどといわれます。そのため、食育に熱心なお母さんほど、「だしをとらなければ」という思いが強いのだそうです。いまは食の安全にうるさい時代でもあり、「子どもには安心できる食べ物を」という思いが強いということは十分に納得できます。

ところが小さな子どもを持つお母さんたちに話を聞いてみると、「だしをとりたくても、なかなかとれない」「つい顆粒やだしパックに頼ってしまう」など、だしに関する悩みがとても多いのというのです。しかし気持ちはわかるものの、あまり考えすぎなくてもいいのではないかと著者は記しています。

「だしをとらなくては」と思って本書を手にとった方は、忙しいときは便利なだしパックのお世話になりながら、まずは冷蔵庫に麦茶ポットの昆布だしを常備するところから始めてみてはいかがだろうか。(42ページより)

おうちごはんには、正解やルールもないもの。気軽にだしを取り入れてみて、「やっぱり本物のだしでつくると、もっとおいしい」「顆粒だしでつくったみそ汁とこんなに違うんだ」と感じたら、きっと「またやってみよう」と思うはずだということ。(38ページより)

8.心と暮らしを整える

「だしの香りは、心からほっとする」と著者。だしをとるという行為自体に、ヒーリング作用でもあるのではないかと思うといいます。また、自分でとっただしで料理をすると、確実に「体にいいごはんをつくっている」という実感が得られるのだそうです。

体にいいものを食べたい。けれど、凝った料理は作れない。料理が得意ではないからこそ、だしが強い味方になってくれるのだ。(46ページより)

「体にいいことをしている」という実感が、「自分の軸を持って、きちんと暮らしている」ということにつながっている。そんな著者の言葉には、だし生活の意義が反映されているのではないでしょうか。(44ページより)




読んでいるだけで、だしとの距離感が縮まっていくはず。そしてきっと、「だしをとってみようかな」という気分になっていくと思います(事実、前著を読んで以来、我が家でも「だし生活」がはじまりました)。

だしに関心がある人はもちろんのこと、まったく興味がないという人にも、ぜひ読んでいただきたい1冊です。

印南敦史

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