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残された人のために、今すぐしておいたほうがいいデジタル遺産対策

残された人のために、今すぐしておいたほうがいいデジタル遺産対策
Image: Tara Jacoby/GMG via Lifehacker US

昔は、誰かが亡くなると、遺言執行人が、一般的な手順に従って遺産の処理をしていました。 愛する人の死後の事務処理は、感情的にも物理的にも辛くなりがちなので、容易なことではなかったでしょう。でも、少なくとも扱うものはすべて有形の物でした。

ところが、今は、誰でも多かれ少なかれ生活にオンラインを取り入れていて、それが遺族の頭痛の種になることがあります。故人のデジタルアカウントもデジタルでどんなものを所有していたかもわからない状態だと、いったいどうやって後始末をしたらいいのでしょうか?

「20年前だったら、遺言執行人は故人のメールを3ヶ月分集めれば、必要なものをすべて手に入れることができました」と、ニューヨーク市で遺産相続を扱う弁護士をしているAlison Besunder氏は言います。

ペーパーレスのデジタル社会に移行するにつれて、誰もが重要な情報を頭の中に保存するようになったのです。

オンラインの銀行口座、ソーシャルメディア、電子メールなどが使用されているデジタル生活の棚卸をしておくことは、最近では遺産相続の計画を立てる際にはごく当たり前のことになっています。Besunder氏は、オンライン生活の中身を簡単に特定できるようにするための質問リストを遺書書の作成に取り入れています。遺言書に「アンティーク時計は姪に譲る」と書くのは簡単ですが、画像投稿コミュニティー・サイトのアカウントや、古いブログのアカウントのことは完全に忘れてしまうかもしれないからです。

まず遺言書を作成する

まず、遺言書を作成して、遺産の受託者を指定しなければなりません。また、自分に判断力がなくなったり、一時的に障害が発生した場合はどうするかも考慮して、委任状で代理人を指名しましょう。

「委任状には、オンラインアカウントにアクセスできる人を指定するデジタル資産の規定が含まれている必要があります」とBesunder氏は言います。指名された受託者(あなたが死んだときの遺言執行人か、あなたに判断力が無くなったときの代理人)が代わりに仕事を処理します。遺言書と委任状を作っておくと、遺族の負担はずいぶん軽くなります。

Besunder氏は、まずデジタル遺産の相続計画を小さなタスクに分割することをすすめています。そうすれば、タスクをカテゴリーごとに分類しやすくなるからです。デジタル生活は主に次の4つで構成されています。

  • パスワード
  • オンライン銀行口座と財務状況
  • メールアドレスとソーシャルメディア
  • 写真や音楽などのデジタル資産

紛失したり忘れたりすることを防ぐには、それぞれに異なる戦略で対処する必要があります。

パスワード

遺言執行人があなたのコンピューター、携帯電話、その他のさまざまなアカウントに必ずアクセスできるようにしておかなければなりません。すべてのパスワードを書き出した紙を残してもいいのですが、それをすると明らかにいろいろな問題が発生します。

パスワードはかなり頻繁に変りがちなので、リストを更新し続けなければなりませんし、パスワードを目立つところに貼っておくと、信頼の置けない人がアクセスする危険性もあります(オフィスのコンピューターには絶対パスワードを貼らないでください)。少なくとも、一番大事なコンピューターと携帯電話にアクセスするパスワードを見つけられる人を誰か決めておきましょう。

対策の1つとして、パスワードをあなたの代わりに管理してくれるパスワードマネージャーがあります。これを使えば、あなたが死亡したり判断力がなくなった場合に、あなたの「保管庫」にアクセスできる緊急連絡先を指定することができます。しかし、Besunder氏はオンライン上のものは何であれハッキングに対して脆弱であるという事実を認めています。

したがって、紙に印刷した文書にするほうがデジタルサービスを使って保管するよりマシだと考える人もいるでしょう。その紙を目につくところに置くか、ファイルキャビネットに保管するか、あるいは暗号化したファイルに保管するかはその人次第です。

Besunder氏によると、誰かが死亡した後にアクセスするのが一番難しいのはApple IDだそうです(私自身が自分のAppleのアカウントに入るのにしょっちゅう苦労するので、納得できる話です)。そのため、少なくとも、Apple IDをどこかに保存するか、遺言執行人がアクセスできるようにしておきましょう。

私的財務資産

遺言執行人は、あなたがどんな口座を持っていて、それにどうやってアクセスするか知っておくべきです。Besunder氏は「少なくとも、あなたにはどこの銀行に口座があり、口座番号は何番かを書き出しておくべきです。そうすれば、受託者がアクセスできます」と言います。

「生命保険証書」「株式」「証券取引口座」「退職金口座」「クレジットカード」に関しても同様です。同時に、銀行やクレジットカードの明細書に目を通して、光熱費、授業料、ローン、Netflix、新聞代といった定期に発生する支払いのリストを作成しましょう。こうしておけば、遺言執行人がこれらすべてのアカウントを閉じるのが楽になります。

電子メールアドレスとソーシャルメディア

電子メールアカウントのパスワードは、パスワードのファイルに必ず入れておきましょう。Gmailに関しては、いわゆるデッドマン装置と呼ばれるアカウント無効化管理ツールを設定することができます。これをすると一定期間アカウントにログインしない状態が続くと、あなたが指名した人にそれが通知されることになります。その際は、個人的なメッセージも一緒に送ることも選択できるのですが、受け取った人は何となく、幽霊からメッセージが届いたような感じがするかもしれませんね。

それ以外の電子メールプロバイダーのあり方はさまざまです。Yahooは何があっても、アカウントの引き継ぎはさせません。Microsoftはすべてのコンテンツのデータを入れたDVDを遺言執行人に送付します。AOLはアカウントの所有権をアカウントに記載されている別のユーザー名に移管します。自分が使用しているプロバイダーの利用規約に従うことになりますが、概要はこの記事をお読みください。

ソーシャルメディアに関しては、あなたが所有しているオンラインプラットフォームにどの程度の価値があるかによって対処が違ってきます。Instagramに7百万人のフォロワーがいる場合は、収益が入る可能性があるので、あなたの死後にそのアカウントをどうするかに関して指示書を残すべきでしょう。

FacebookInstagramは両方ともアカウントを記念に保存することができます。 Facebookにはユーザーが亡くなったあとのアカウント相続人を指定できる機能(レガシーコンタクト)があります。Twitterの場合は、遺言執行人か家族がアカウントを無効にすることができます。各プロバイダーのサービス規約を確認してください。

デジタル資産

重要な知的財産を持っている人の場合(たとえば、売れっ子小説家で、PCのハードドライブに未完成の原稿がある場合などです)、遺産のその部分だけを処理する代理人を個人的に指定する必要があります。

写真やオリジナルの音楽のようにハードドライブやオンラインサービスに保存されている一般的な知的財産を所有している場合でも、指示書に誰を所有者にするか書いておく必要があります。iTunesで購入した書籍や音楽などのデジタルコレクションは、「購入」をクリックすると、実際にその曲を購入するのではなく、ライセンスを取得しているのです。ですから、Apple を使っていると、CDやLPと同じ方法で購入できているわけではありません。さらに、デジタル通貨、ゲーム、ドメイン名などの仮想資産を持っている場合は、それについても考えなくてはなりません。

今のうちに、こういうものを整理して、ラベルを付けておくと、後々遺言執行人はずいぶん楽になります。私はクローゼットに古いハードドライブがたくさん入れてあって、どれにも貴重な写真が山ほど保存されています。ですから、それを分類して、少なくとも内容に応じたラベルを付けるのが目標です。第2の防御策としては、そういうものを全部Dropboxに入れておくことかもしれません。家族とシェアできますし、私の死後も、家族がアクセスできます。

最後に、オンラインポートフォリオ、ブログ、またはあなたの作品を収めている他のデジタルスペースのことを考えてみましょう。 私は何百もの記事とエッセイをオンライン上に保存しています。もし私が明日ぽっくりいったら、私の家族にはそういうものを見つけようがありませんし、後世のために保管する方法もわからないでしょう。私は子供たちが、有意義だと思われるエッセイの20編から50編はとっておけるようにしたいので、それらをPDFにするかプリントアウトするかして、オンラインのポートフォリオや専用のフォルダに保存しておくことになるでしょう。

必要なら専門家の助けを乞う

ここまで読んで、「うわー、大変過ぎる」と思いますか? そういう人のために遺産相続専門の弁護士がいるのです。でも、デジタル遺産の相続計画に秀でた人を見つける必要があります。弁護士は、デジタル資産を含むあらゆる資産の目録の作成と、デジタル資産へのアクセス方法や分配方法に関する指示書を作るのを手助けしてくれますよ。

Besunder氏は、将来遺産相続の弁護士を選ぶときのために、一連の質問を提供しています。

気分よく一緒に仕事ができて、こちらの質問に答えてくれると感じる人を見つけてください。つい弁護士料ばかり気にしてしまいがちですが、一番大切なことは状況を適切に収め、あなたにそれがわかるようにすることです。

弁護士との最初の面談で(または電子メールのやり取りで)、次のような質問をしてみましょう。

  • デジタル資産とデジタル遺産分割計画に関するコースを受講したことがありますか? どのようなコツを学びましたか?
  • あなたは普段の弁護士としての仕事に、デジタル遺産をどのように取り入れていますか?
  • クライアントにどのような質問をして、適切な方向に向かわせていますか?
  • デジタル遺産から何らかの厄介な状況が発生したことがありますか? それにどのように対処しましたか?

すべてを整理する方法について、さらに詳しく知りたい方は、Besunder氏がまさにそれについて持論を展開しているので、ご参照ください。The Digital Beyondというサイトに掲載されているLastPassの体験をつづった記事も役に立ちそうです。私自身の遺産相続計画に関しては、まずパスワードと銀行口座からはじめて、少しずつ整理しています。どちらも、耐久性のある有形の紙に書くつもりです。


Image: Image: Tara Jacoby/GMG via Lifehacker US

Source: Arden Besunder P.C., Wikipedia, Google, Gizmodo, Facebook(1, 2), Instagram, The New York Times, The Digital Beyond(1, 2

Leigh Anderson - Lifehacker US[原文

(訳:春野ユリ)

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