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ビジネスマンが読むべき1冊を平日毎日ご紹介します。

「脳」の作業効率を高めるには、いつなにをすべきなのか?

「脳」の作業効率を高めるには、いつなにをすべきなのか?
Photo: 印南敦史

いつもの仕事が倍速で進む活脳スイッチ』(西多昌規監修、永岡書店)の監修者は、脳科学に関する多くの著作を持つ人物。本書では「活脳」をテーマに、脳科学に基づいた125種もの“活脳テクニック”を明かしています。それは、脳をマネジメントすることでもあるのだとか。

「脳のマネジメント」なんて言うと大仰なことに聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば「自分の脳を操るコツ」を心得ているかどうか。すなわち、ある時は自分の脳をホメおだててがんばらせる、ある時は疲れた脳をしっかり休ませる、ある時は不安になっている脳をあやしてなぐさめるといったように、脳を操るコツをつかんでいるかどうかが脳力発揮のカギになるのです。(「はじめに」より)

このような「脳をマネジメントするコツ」を心得ている人は、脳の力を引き出し、成果を積み上げ、着実に階段を上がっていけるそうです。つまり“脳を活かすコツ”をつかんでいるか否かによって、自分の力を何%引き出せるかが決まってくるということ。

そんな本書のPART 4「脳の『作業効率』を高めるスイッチ」から、いくつかを引き出してみたいと思います。1日のなかで脳を効率よく働かせるコツを紹介した章です。

起床後、朝の光を浴びて体内時計をリセットする

著者によれば、朝、目が覚めたらいちばん最初に行うべきは、外の光を浴びることなのだそうです。外に出て太陽光をじかに浴びられればベストですが、カーテンを開けて窓越しの光を感じるだけでも効果が。ただし、光が射してこない曇りや雨でも行うようにすることが大切。

なぜなら、脳は朝の光を浴びることによって体内時計のずれをリセットし、セトロニンという脳内物質を分泌させて1日をスタートするようにできているというのです。そこで、「とにかく、光を浴びなければ脳の1日が始まらない」というつもりで朝イチの習慣にしていくことが大切なのだということ。(78ページより)

朝のゴールデンタイムを利用して「朝活」を行なう

しっかり目が覚め、朝食を食べてから午前10時くらいまでの間は、「朝のゴールデンタイム」。というのも、この時間帯の脳は朝食の栄養が行きわたり、新鮮な酸素が供給され、頭の回転もよく、判断力、思考力、記憶力、ひらめき力などが全般的に向上した状態だから。

そこで、この時間帯の脳の力を有効に使いたいのなら、会社始業前に「朝活」を行うのがオススメだと著者。自己実現やスキルアップのため、情報を分析したり勉強したりするのもいいそうです。そういうことが、仕事で脳を本格始動させる前の格好のウォームアップになるというのです。(79ページより)

午前中は「頭を使う仕事」、午後は「人と会う仕事」をする

自律神経は、午前中は交感神経が優位に働き、午後から夕方、夜にかけては次第に副交感神経が優位に働くようになるそうです。そして、交感神経が優位な状態にある脳はものごとを論理的でクールに捉える傾向が強く、副交感神経が優位のときの脳は、ものごとを感情的に捉える傾向が高いのだといいます。

つまり交感神経が優位に働いている午前中は、感情に流されることなく、論理的で冷静な判断や思考ができるということ。そういう意味で、午前中は「判断力や思考力のゴールデンタイム」だというのです。そのため、重要な決断をしたり、難しい問題を考えたりする仕事は、できるだけ午前中に行うようにするといいのだそうです。

また、午前中の脳は前頭前野の活動が活発で、ものごとの構想を練ったり、ものごとを論理的に構成したりする力も高まっているのだとか。そのため、新しい企画やアイデアを考えたり、報告書・レジュメなどの原稿を書くなどの仕事も、なるべく午前中に済ませておくべき。午前中の時間帯は脳の解決能力が高まっているので「頭を使う仕事は午前中に片づけてしまう」と決めておくといいのだといいます。

一方、副交感神経が優位になってくる午後以降は、職場の仲間や取引先と打ち合わせをしたり、交渉をしたり、コミュニケーションととったりするのに最適。日が傾くにつれて脳がものごとを感情的・情緒的に捉えるようになってくるため、他人との関係性がより深まりやすいというのがその理由。

そのため、「情」に訴えて取引先と交渉したり、上司や部下に「そこをなんとか!」と頼みごとをしたりするなら、オススメは午後以降。ちなみに接待や宴会が夜に行われることが多いのも、そのほうが「情」の絆が深まりやすいからなのだそうです。

ただし、ものごとを感情的に捉えやすくなるこの時間帯は、怒りや不満、疑い、嫉妬などのマイナスの感情も含みやすいというので注意が必要。「場」の高まりが、かえってトラブルの種になるケースもあるということです。(80ページより)

感情的になりそうな仕事は夜間に行なってはいけない

副交感神経が優位になる夜間は、自分が「抱いている感情」や「普段は隠している本音」が表に出てきてしまいがち。怒りや不平不満を抱えたまま遅くまで残業していたりすると、マイナスの感情がむくむくとふくらんできてしまうのは、そのせいなのだといいます。

たとえば、上司や部下の尻ぬぐいのような仕事で残業させられているとき、だんだん上司や部下への不満がつのってきて、不平や文句を延々と並べたメールを送ってしまったとか…。あるいは、仕事がうまくいかずに滅入っているとき、夜遅くにクレーム対応をしていて、ついカッとなって大切な顧客に怒鳴ってしまったとか…。このように、感情が抑えきれず取り返しのつかないことをしでかしてしまう場合もあるのです。(82ページより)

そのため、「ストレスがたまる嫌な仕事」や「感情的になってしまいそうな仕事」は、できるだけ夜間に行うのは避けるべき。どうしても夜にそういう仕事をしなければならない場合は、メール受信には気をつけなければならないそうです。

夜に書いたメールは思い込みの感情が先走っていて、書く必要のないことまで書いてしまっているケースが少なくありません。だから、夜に書いたメールは、翌朝もう一度見直してから送信するように習慣づけておくのがおすすめ。(82ページより)

これを守るだけでも、無用な軋轢をかなり回避できるのではないかと著者は記しています。(82ページより)

夜遅くにネットショッピングするのはやめる

経験のある方も少なくないでしょうが、夜遅くにネットショッピングをするのも、なるべく避けたいところ。なぜなら、つい買いすぎてしまったり、必要のないものまで買ってしまうことが多いから。夜間の脳は思い込みが激しくなっているため、欲望が先走ってつい「カートに入れる」「ご購入手続きへ」などのボタンをクリックしてしまいがちになるというのです。(83ページより)

日中、仕事でイライラしたら呼吸と歩行をスローにする

現代人の多くは、日常的に朝から晩まで仕事に追われ、休みなく緊張やストレスにさらされて、イライラ、ピリピリしてしまいがち。そうした人は多くの場合、自律神経のバランスが交感神経サイドに偏っているのだそうです。

私たちの生活は、右を見ても左を見ても「ストレスの種」だらけ。だからそのうち、いつの間にか交感神経をイライラ、ピリピリとした戦闘モードにしてしまっているというのです。

ただし長期にわたって緊張モードが続くと、心と体に大きな負担がかかり、さまざまな病気や不調に見舞われやすくなるというのです。そのため私たちは普段の生活シーンにおいて、極力交感神経を落ち着かせ、副交感神経を上手に働かせて、自律神経のバランスを整えていかなければならないということ。

具体的にどうすればいいのかといえば、自律神経バランスを整えるためにもっとも簡単な方法は、「深呼吸」をすること。ひとりになって目を閉じ、心のざわつきを鎮めて、ゆっくり2、3回呼吸をしてみる。それだけでもイライラがおさまってくるといいます。

また、深呼吸をしたあとは意識して心に余裕を持ち、ゆっくりと歩くようにするといいとか。「呼吸」や「歩行」は自律神経とリンクしているため、これらのテンポやスピードをスローにすると、副交感神経が刺激されて心身が落ち着くようになるというのです。

「イライラ、ピリピリしたら、呼吸と歩行をスローにする」と普段から心がけているだけでも、だいぶ違うはずだと著者は記しています。(84ページより)


ここで紹介されたコツやテクニックを使いこなしていけば、これまで30%しか力を出しきれていなかった人も、100%の力を出せるようになるかもしれないそうです。そんな状態に達することを目指し、本書を活用してみてはいかがでしょうか?

印南敦史

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